(二)‐5

 いずみがそう言うと、「それ、どういうこと?」とクロエが甲高い声で言ってきた。

 ちなみにクロエは三人の中では最も背が低いものの、金色の髪をツインテールにし、碧眼で非常に目立っていた。その上、制服を着崩していた。スカートは短くし、ブレザーの前のボタンを開け、シャツは第三ボタンまで開けられていた。そのシャツとシャツの間から垣間見られる白い肌には赤いハートのネックレスが輝いていた。この三人の中でもかなりギャル色が濃く、帰国子女とはいえ海外ではなく都会から引っ越してきたのではないかという噂もあるほどで、都会のずっと南の方に位置するこの鄙びた地域では、学校の内外を含め知らない人はいないのではないかというくらい目立つ存在だった。

 いずみは「別に、そのままの意味ですけど」と答えた。

 椿は「ちょっと今からウチらと付き合ってくれる?」と言って、身を翻して道を進み始めた。

 いずみはその場に留まっていると、椿が再びいずみの方を向き「ちょっとお茶しようってだけさ」とだけ言い、再び歩き始めた。


(続く)

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