この身よ

Lugh

この身よ

手を空に向けて伸ばす

手のひらを広げる

薄皮の爪から太陽の光が透けた

温かさを感じる

でも

ぼくの身体はちっとも

温かくならない

寒くて 寒くて

たまらない

太陽の傍らまで行ったら

この身を焼き尽くしてくれるだろうか


手に酒を持って眺める

グラスを傾ける

萎びた食道をアルコールが通り抜けた

潤いを感じる

でも

ぼくの心はちっとも

満たされない

渇いて 渇いて

たまらない

海のほどの酒を飲んだら

この身は乾ききって朽ち果てるだろうか


ぼくが意見を言うのは

正しさを主張したいわけではないんだ

理解してほしいだけ

でも

喋れば喋るだけ

毒を撒き散らす

誰かを愛したいし

誰からか愛されたい

でも

誰かを傷つけるくらいなら

消えてなくなりたい


この身よ

小さく 小さくなって

ばらばらになって

風に乗って

世界に散らばってくれ

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る