下−60 アンタッチャブル・ギルダー、そのおっさんっぷり


夕方にギルダーに念話して確認とってから迎えに行った。



「・・・・・・・・あんだその格好、、」

「え?いいだろ?これで俺もモッテモテだぜ?」ギルダー


「着替えてこい」

「え?何?」

「いーから着替えてこい、ふつーのおっさん服でいいから着替えてこい!すぐにっつ!!!」

しぶしぶ着替えに行くギルダー


ちんどん屋って、2−3度しか見たこと無いけど、今のギルダーの服に比べりゃ全く持ってまともだったような気がする。

・・あ、、、

「しまった!!!あの服のギルダーだけで店に入らせて、影から見て愉しめばよかったあああああ!!!」

二度と無いであろうチャンスを潰してしまった、、、、くっそう、俺のバカめ!これで10回目だと?まだまだ甘々ちゃんじゃねーかっつ!!!くそがっつ!!


「おまたせ?何やってんの?」のほほん顔のギルダー

「おう、いや、己の不甲斐なさに少し怒りがな、、」

ふーん?


まあいい、こいつのことだ、またいろいろやらかしてくれるだろう、期待しよう!!


王都北の領の領都に飛ぶ。人気のない路地裏。もうそろそろ夜で暗いので見えにくい場所に。

シュン!


「おし、、表通りを通ってみよう。一応見るだけ見とかないとな、、建前上」

でないと、ホントに遊びにだけ行ったの?!!!とか言われそうだし、、いーじゃんなぁ?

いや、他のやつがそーだったらやっぱ俺も言うかもだけどw



「う、、まじ栄えてるなぁ、、、。あ、防衛軍の兵士がちゃんと巡回している、、」

失礼な最高司令官w


後ろから声がかかる。

「あれ?イサムさんじゃないですか?どうして?なんかご用事ですか?もしよろしければお手伝いしましょうか?」

初代メンバーだ、、初代の連中はよく知っている。直々に鍛えたから、、何度もw

真面目なんだよなぁ、、今だって、、

前と後ろに別れて巡回、、基本通り、、この、、この、、正しい奴め!!!


「いや、、ちょと今日は休日で、、」

「あ!すみません、お忍びですか、、気が付かず、、、ではごゆっくり!この街は安全ですからっつ!!はっはっはっは!!」

くっそー、、なんか皆一生懸命働いているのに罪悪感もっちまったわー、、、でもこういう時下手な嘘付くのは悪手だからな仕方がない、、


「何?」のほほんギルダー

こいつっ、、

「まぁ、とりあえず飯食うぞ!」

「え?お店入って食えばいいじゃん」

「あほかい!めったに旨いもんなんぞ無いわ!」

ふーん


まぁ、出前取ってくれるけどねw

だったら最初から食っていく方がめんどくさくなくていい。


通りの宿の一階の食堂。混んでいるんで旨いんだろう。

周囲の客の食っているものを見る。

ばらばら、、何たのんでも美味いってことか?

「何にする?」

「ギュードン」ギルダー

まぁいいけど、、

給仕を呼んで、

ギュードンと、、焼き魚って何?

「じゃけです」

あっちの鮭だ。

「んじゃ、それ。あと燗酒2合にチョコ2つね」

「へいまいど!」


「もう飲んじゃうの?」

「勢い付けですこしばかりだけだから」


ーー


あれ?

なんかかなり良い調子になっちゃってるギルダー。

おかしい、こんなに弱くなかったはず?

「おまえ、ホントにギルダーなの?ぎるばーとかぎるまーとかじゃない?」

「ふへへ!よくぞ見破ったな!!その眼力、見事なものよ!!ふへへへへっつ♪」

・・・・・


赤とか緑とかに輝く歓楽街。この時代でも灯火を工夫し、いかがわしさを?出しているw

店の前ではおねえさん達がたむろって、通りがかる客に声を掛ける。

「おじさん!いーちょうしになっているねぇ、、ついでにココでも少しのんでいかない?たのしーわよー!」

「お?いいのかい?おじさん、あれだよ?頑張っちゃうよ?」ギルダー

「おう!頑張れ!あたしも頑張るから!!いこいこ!!」

とギルダーを拉致する旧おねい様方、、

仕方ないよね、と、俺をねぎらうような顔をしながら俺の背をぽんぽん、と叩き、店に一緒に入るギリギリ現役おねいさん。


「しゅびっつ!!ギルダーアイ!!お!!おねーちゃんきれーだねー!!」

ギルダーアイって、10年、20年前の姿でも写すのかな?


「よかよか!んじゃまー、やっちゃう?やきゅーけん?」ギルダー

昭和の親父?つーか、なぜ知ってんだよっ!!


「ねぇ、野球拳って、皆知っているの?」と一緒に入ってきたおねーさんが隣に座ったので訊く。

「ええ、なんか異世界人がこっちに持ち込んだエロゲームでしょ?」

・・・・・・・

「そーなんだー(棒)」


野球拳にはまだ早い、とか気の利いたのか気の抜けたのかしらんセリフやらが飛び交う

「んじゃ人生ゲームしよ!じんせいやまありゃかわありゃ谷あるよー、あるきもはしりもかわらねー、ねそべってりゃいちばんらくちーん!こっつ!・・」

わけわからん、、


「さき越されちまった、、」

「まぁ、アノ手は厳しいよね、、まず勝てないよ、」

と慰めてくれるおねいさん

しかたがないのでピーナツみたいな豆をひと粒づつ食う。

ぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽり

おねいさんも真似して食う

ぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽりぽり


「「「「「「うるさいわっつ!!!!」」」」」」


「だっはっはっはっはっは!!」

大笑いギルダー

「さてはっつ!!忍法シマリスだな!!!!」

ハムスターだろーが、、


ギルダーが誘われない理由ががよっくわかった、、、

だがしかし!これは、タカシとコンビにすれば?

もしかしたらもしかするかもよ?

いや、もしかってどーなるのよ?って訊かれても困るけど、、


俺、高校生でこっちきてよかったって、はじめて思ったわ今。

こういうおっさん達に付き合って飲んでまわらねばならない、とか、ぜってーヤ!!

よかったあっちで社会人なんか経験しないで!!


「どうしたのよ?ホッとした顔しちゃって」

「あ?出てた?」

「もろ」

「いやー、ずっと前、俺の居た所、こういうおっさんばかりでさー、その頃まだ子供だったから付き合わされないでよかったけど、、まだあっちにいたらえれー大変だったろーなって思ったら、こんなのまだマシだな、と思えてねー」


「・・・・・・・・・すごいとこ、ね?どこそれ?絶対行きたくないわ、、」おねいさんマジ顔ですけど?

「まぁ行こうと思っても行けないんで、だいじょぶですけど、きっと、、」

こっちで死んであっちに転生とかなったら即死案件だよな?



その頃のタカシ

「きゃー!タカシちゃーん!!ぽろんいく?ぽろん!!」

「いや、結構です」

「またまたー、このー、まじめぶってー、んじゃぽろーん!!ほれー」

がばっ!!とタカシの頭を抱える正真正銘のおねいさん!

あたしもやるぅー

と、2−3人がぼろんしてタカシの頭を抱える。


タカシは特に何をしたわけではない。

言われるがままに店に入り、ご飯を注文し、無いので出前してもらって、もそもそ食べ、エールがあるか聞いて、あったのでたのんで飲んで。

おねいさん達が「私達もエールたのんで良い?」っていうのでOK出して、、

普段の客はエールなんぞ頼まない。でもやっぱ皆エールは好きなんだけど、仕事の前には飲めないし、後だとかなり酔っているので、もう飲む気にならない。休みの昼間に少し飲むくらいだ。

エールの客は店の儲けにならんけど、エール好きのおねいさんには人気。

しかも最初からポロンいらねーとか真顔で言うタカシ。真面目っぽい若い子だし、こりゃいろいろやりたくなるよな?


んなこと全く知らないイサム。

しかも、

タカシにとっては取るに足らないことなので、報告するときには全てすっかり忘れていることだろう。

タカシには店の暗がりにある、彼女たちが履いている靴だけが興味の対象だった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る