08 ③ 逃げる女視点

 闇のなかで。


 声。


「俺たちが求めるのは、そのガラス固化体だけだ。女に興味はない」


 いやに、迫力のある声だった。


「官邸の意向ってやつかしら?」


 自分が、答える。おそらく、警察の二人は、もう使い物にならない。迫のある声だったから、もう、ころされたかもしれない。


「大臣の意向だ。勘違いするな。殺すだけなら簡単だった」


「あの女性大臣ね。でも無理でしょ。国の力じゃ、このガラス固化体は護りきれない。弾頭になるぐらいだったら、国外に捨てるほうがましよ」


 無言。


 やはり、ガラス固化体は兵器に改造されるのだろう。


「これは、わたしの恋人が、国外の然るべき所に廃棄します。国内にあってはいけない代物なの」


 銃声。


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