柏の花言葉は「愛は永遠に」2
「「(* ̄▽ ̄)フフフッ♪」」
互いにライバル視している人物を褒め合うという奇天烈な様子に堪えきれなくなったのか笑っていた。
認めたくない部分を認め合って高め合う。
その精神が蒼汰の心をより開かせていることに彼女たちは気が付いていてない。
「食べても大丈夫かな?」
「うんいっぱい食べよう!」
「どうぞ召し上がれ」
高校に入ってからは一度も食べていなかった柏餅、今まで嫌いな餡子が入っているという理由から食べてこなかったのだが久しぶりに食べる柏餅は美味しかった。
「とっても幸せそうですね」
「蒼汰君はこの味の柏餅がとっても好きなのいつもこれと一緒に梅ジュースを飲んでたよ」
自然と微笑みを浮かべる蒼汰に見惚れていた二人は共感していた。
頑固おやじが昔を懐かしむような優しい微笑みのようにめったに見られない光景を脳内フィルム1秒間あたり350枚3840×2160の解像度で焼き付けていった。
モニターに換算すると350Hz(FPS)で4K解像度のモニター出力が必要、2021年3月時点ではこのような4kモニターは製造されていないため物理的に不可能な領域。
日本の映像・音響家電メーカーのゲーム機の目安に換算するとフルHD1920×1080の解像度で60Hz、5になると120Hzとなる。
ちなみにテレビは機種にもよるが基本30から15Hzと言われいる。
「筑前煮も食べて良い?」
「筑前煮はもう少し覚ました方が良いので他に何か持ってきましょうか?」
「今は午前のおやつの時間だから筑前煮よりコーヒーの方を淹れるね」
「ありがとう甘夏さん、来夢さん」
二人にお礼を言いつつ柏餅に舌鼓を打ち続ける。
お米本来の甘さともち米のモチモチ感、そして柏につけられた塩がいい塩梅で美味しい。
「コーヒーできたよ」
「ありがとう」
「あれ?ミルを挽いてたにしては早いですね?」
「引くのはマシンを使ったよ。渋皮もとれるのは持ってたから抽出は私がやったけど蒼汰君のコーヒー全般の技術には及ばないからね」
「蒼汰さんはコーヒーの好みが通ですからね」
「酸味が強い浅煎りコーヒーだし市販ではあまり出回らないからミルもそれ用のを買ってるし難しいよね」
「私が買ってきた電動ミルも鋭い刃が売りの浅煎り用の商品だから多分大丈夫だと思う」
来夢さんの淹れたコーヒーはいつもの比べるとやや渋みは感じるが香りの豊かさは蒼汰が淹れる以上だった。
「この香りは良いね。僕よりドリップ巧いんじゃない?」
「ありがとう蒼汰君」
「香りの出し方も色々ありますけど浅煎りコーヒーならドリップが好ましいですからね。ドリップのやり方次第で香りの質感がだいぶ異なりますし水出しコーヒーという手法もありまずがドリップの方が研究されていて独自の香りを出す技術がありますからコーヒーは奥が深いですね。紅茶も色々ありますけどコーヒーほど同じ品種で味がここまで違うものは無いですし本当に勉強が必要ですね」
「玲菜さんも通?」
「私は通なんかじゃありませんよ。ヨーロッパでの会談でコーヒーと紅茶をお出しする際には注意が必要なので一通り知っているだけです」
「それでも十分凄いと思うけどね」
「飲み物に関しても冷えてるものより常温の方が好まれる場合もありますからどこに焦点を当てるかが商売の鍵ですよ」
商売の鍵って言うよりも外交の鍵に見えてきた。
来夢さんもそこまでするのかという表情で唖然としている。
「それだけやるのは中々いないとは思うけど春菊さんはきちんと日本文化を最初から教えてたみたいだね」
「?」
「おもてなしの心かな。相手を尊重して重んじる心。人に合わせて行こうとする精神が日本人の古き良き精神かな」
「確かに春菊さんって人によって対応の仕方やお菓子なんかもそれに合わせて持ってきてくれるから良いおばちゃんだとは思ってたなあ。今思えば子どもの好き嫌いとかも考えてくれたんだね」
「おもてなしするのは大変だけどされる側は気持ちが良いよね。おもてなしした人から感謝の言葉があれば充分とでも言いたいのかなって思うくらいのことを平然とやってのける偉人は日本には多かったからね。あまり国に関心を持たない日本人でも誇りに思って偉人の真似をするように学校でも道徳教育という形で教えているしね」
結果が伴っているかは別としてと語尾が付くが……
甘夏さんも来夢さんもそのあたりはわかっているようで追及はしてこなかった。
「ま、理論染みた話は終わりにして柏餅を食べようか」
「はい!」
「うん!」
五月五日は子どもの日、
男の子を祝う日だ。
小さな男の子に兜を被せ、こいのぼりを上げ
強く気高く大きく育って欲しい願いが込められた行事だ。
しかしその強さは武力かもしれない。
今は武力は必要ないとされる強さだ。
じゃあ柏餅のような包み込む優しさは今の世の中でも必要だった。
柏の花言葉は「愛は永遠に」
子どもへの愛は永遠に紡ぐ。
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