「』
「痛い!辞めて!!私は小学生じゃないの!!!」
「お前はどう見ても俺らと同じ年齢だろうがよ!」
「そうだそうだ勝手に公園に来て俺たちの縄張りに来やがって!!」
「俺たちの縄張りに来たからには例え女だろうと容赦はしねえ、覚悟しろ!!!」
どこぞの世紀末の三下のようなクサイセリフを吐き、写真に取られたら笑い話か黒歴史に成ること間違いなしの全員黒いビニール袋で作った特製のコートを羽織ってスーバ〇戦隊シリーズのようなポーズを取るとにかくカッコよかったものの真似をしまくった小学3年生くらいの3人組。
そこに体格は同じくらいだがそれにしては顔の水分量が多そうな女子が一人公園でいじめられていた。
「あっ!」
バサッ
その音共に彼は現れた。
幼稚園児にしてはあまりにも隆起した筋肉、その大きさたるや成長を阻害するほどまでに大きく、分厚く、そしてあまりにも硬すぎた。
「な、なんだオメエも俺たちとタメか?」
「たっくんこの子あれだよ噂になってた上級生が手を出すなって言ってた奴だよ」
「おい馬鹿細渕!あれほどコードネームで言えと言ったろうに……あ、俺も言っちゃた」
「お三方、この花を踏みつけとようとしたのは貴方達ですか?」
「「「ヒッ!」」」
ピ——————————(自主規制音)
お食事中の方にはあまり聞かせたくない音が流れた。
「お、おぼえてろよ~!!」
「はやくママに洗濯してもらわないと怒られる!!」
「そこのトイレで洗ってこうよ!!!」
前も後ろも垂れ流すほどの恐怖を植え付けた少年は幼き日の蒼汰。
そしていじめられていた少女もまた幼き日の来夢。
しかしここにもう一つ幼き日より交わることのなかった人間が居た。
『お母さん?あの子のアレは何?』
『玲菜、アレはね。大事なモノを手にしたときに初めて解るモノよ』
『どうすればあの子の大事なモノが手に入る?』
『さていつ手に入るでしょうね。それはお母さんにもわからないわ。それが10年後のに成るかもしれないし明日手に入るかもしれない。もしかしたら手に入らないかもしれない』
『わからないよ』
『わからなくていいのよ』
美しい日本人離れした髪色とは別に純日本人を思わせる美しい黒い髪の親子は公園での出来事を見ていた。
一人まだ建てている別荘を見に行きたいと駄々をこね、連れてきた娘。
母親は日本語を敢えて教えていない娘に対してこの時だけは日本語で話した。
「旅は道連れ世は情け、人生とは一人で旅をするよりも仲間が居た方が楽しいようにお互いに情けを掛け合う思いやりを感じた時に初めて自分の幸せを感じられる」
これが幼き日の甘夏 玲菜の姿であり、まだ人の優しさを感じ取れない無垢な少女であった。
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