第3話


 な、なんてことだ。


 分からない!分からない!


 が、これはヤバい。ヤバいやつに違いない。何か俺はヤバい世界に足を踏み入れている気がする!


 何かの組織絡みの裏の人間だと勘違いされてしまっているのか!?


 押しちゃいけないインターホンを押してしまったんだ!


 いや、そんな馬鹿な……落ち着け俺……。いやでもこの女が言ってることは……えっと……えっと……。


 分かんないけどなんか怖い、怖い!


 やばいやばいやばいやばいやばい!


 俺は銃声の音で一気に全てが恐怖へと変わっていた。混乱していた心は、あの銃の音で一瞬で恐ろしく染まってしまったのだ。


「こ、殺される!!」


 俺は持っていたダンボールなんかとっくに投げ捨てて、全速力で夜道を逃げ回る。


 謎のわからない恐怖が膨らみながら、俺の背中を追ってくる。


 そして、夜の冷えた道路をバタバタと恐怖と共に走り抜け……しばらくすると、後ろから何かが追ってきた。どれくらい走ったのかはもうわからない。



──ヴーーーーーー!



「お、お巡りさんだ」


 既に後ろには赤い光を放つ数台のパトカーが並んでいた。


「そこの君!そこで止まりなさい!」


 急に大きなアナウンスで呼び止められた。すると、中からお巡りさんが沢山降りてきた。


 パニックで俺はパトカーの赤い光が頭の中をぐるぐると回っていた。今にも殺されるかもしれない恐怖と動揺した心がぐちゃぐちゃに回っている。


 俺はすぐにパトカーの方へと走って、お巡りさんの腕を強く掴んで言った。



「たた、た、助けてください!!」



 しかし、声は届かない。



「コイツだ!コイツが強盗犯に間違いない!」



──ガチャッッッ



「犯人逮捕ー!」



「ち、違うんです俺はこれから殺されるかもしれないんです!!助け……」



「言い訳は通じないぞ!」



 こうして俺は訳の分からないまま、警察に捕まった。そして、その後は刑務所生活を送ることになる。


 強盗の容疑で逮捕されたのだ。


 俺は取り調べで、もっとヤバいヤツがいると、俺を殺そうとするヤツらがいると訴えたが誰も聞く耳は持たなかった。


 何故だかは、その後判明した。あの夜殺されると思っていた俺は捕まった後、衝撃の事実を知ることになる。




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