第243話地震と融合
「武内さん!! どういう事ですか! この前融合が始まるのは30~50日後って言ってましたよね! それが今朝がた融合が起きたんですよ!! どういう事ですか!」
怒った感じの鈴木さんですが、どうやら席を外していたのは、以前の報告と違って急に融合が始まった事でお偉いさんから呼び出しを受けて説明を求められていたようです。
確かにまだ猶予があるって思ってたら急に融合が始まって、それが人も居ないアンデッドが跋扈する枯れ果てた大地、しかも昨日まで海岸だった場所にそんな大地が現れたら世界中大騒ぎになりますよね…。
うん、自分は悪くない、なんせさっき順次融合をするって聞いたんだから。
そんな事を思いながら、鈴木さんにネレースとのやり取りを問題ない範囲で説明します。
「それじゃあ武内さんも、昨日、ネレースに聞いたという事ですか?」
「そう、昨日聞いたから今日報告しようとゲートを開いたら既に融合が始まっていたって感じ。 どうやらネレース的に予定外の地域まで融合範囲になったみたいで融合を順次していくって言ってた」
「それは何か問題が発生したという事ですよね? 何があったんですか? しかも聞く限りでは枯れ果てた土地が含まれたことで急に融合を前倒ししたように聞こえるんですけど」
「そうですね、何があったかは分からないですが、恐らく予定外の事が起こったんじゃないですか? 人間が神を名乗るネレースの考えなんて分かりませんし…」
「確かに、異世界があるだけでも驚きなうえ、その世界の一部と地球を融合させるなんて科学でも実証出来ないような事ですからどんな問題が発生したのかなんて私達には分かりませよね…」
「ええ、全く分かりませんね、とは言えこれからどんどん融合が始まるので早急な対策が必要かとは思います」
そう鈴木さんに伝えると大きくため息をついて机に広げられていた世界地図を覗き込みます。
「武内さん、次は何処に異世界の土地が融合されるか分かりますか?」
「いえ、全く分からないですね、自分が知っているのは、日本の太平洋側にドグレニム領と、バイルエ王国、パルン王国とクルセルをくっつけた状態で融合するって事だけで時期までは聞いてませんし、教えられてませんから」
そう伝えると鈴木さんは、私は再度報告に行きます! と言って対策室を出て行ってしまいます。
う~ん、毎回思うけど中間管理職は大変だな~。
報告を受ける上の人間がここに待機しとけばいいのに。
どうせ政治家、ていうか大臣の1人や2人、国会に居なくても特に問題がある訳でもないだろうに…。
そんな事を思っていると、ゲート越しに対策室が揺れ始めます。
「そっちは地震? 結構大きいね…」
そう呑気に揺れに襲われている対策室を眺めていると、自分の足元からも突き上げるような衝撃があり、その後グラグラと揺れ始めます。
今回の揺れは大きいけど、クルセルの建物とか大丈夫なのか?
そう思いながら窓から町を見ると数件の家が土煙を上げていて崩れた様子ですが大きな建物などは特に異常も見られず、問題と言えば人々が外に出て怯えているぐらいのようです。
とは言え地震が起きる度にこれじゃ反対に危ないよな…。
避難訓練でも実施するかな。
どうせ空き家は沢山ある事だし、住居区画と商業区画、工業区画、そして公園など広場を整備して災害の際は広場や公園に避難。
よし、区画整理しよう!!!
これから人口増えるとしても家屋の半分は不要で手入れしないと朽ちていくだけだし、いっその事大規模に行おう!
そんな事を思いながらも揺れが収まるのを待ってゲート越しに対策室を覗き込むと、日本は相当な揺れだったようで机の位置がずれ、書類などが散乱しています。
皆さん、片付けやら、どこかへ電話したりと忙しそうなので声をかけるのを止めてゲートを閉じます。
とりあえず1~2時間後にでも再度ゲート開こう。
どうせクルセルも地震でバタバタしてるし、場合によっては怪我が居るかもしれないしね。
それにしても地震が頻発すると地震酔いしそうだな…。
そう思いながら1時間程、慌ただしい対策室を眺めてましたが、誰も相手をしてくれなさそうなのでゲートを閉じようとした瞬間、対策室で何処かに電話をしていた人が、突然大声を上げます。
「なにぃ? 関東北部方面が大規模停電だと?」
「どこだって? 朝鮮半島? 軍事衛星からの情報だと? 地形が変わっただと!!」
防衛省から派遣されている人でしょうか、どうやら地震と共に融合が発生したようです。
ネレースが順次融合を進めると言っていたけど間隔が短すぎでしょ。
それに融合に伴って毎回地震って、どんだけ被害がでるんだ?
あとがき--------------------------------------
2021年4月29日から新作の「戦国時代の初期にタイムスリップ? いえ、ここは異世界らしく天下統一の為に召喚されたみたいです」を投稿しています。
是非ともお読み頂ければ幸いでございます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます