第228話二ホン砦への入植
305日目
朝、ゴブリン達から昨日とったオダ帝国軍の行動を聞いて情報を整理していますが、どうやら国境を通過したオダ帝国軍は国境近くの村を制圧し、不足がちな食料を与え住民の慰撫に努めているようで、今の所は占領した村での流血沙汰は発生していないとの事です。
とは言えゴブリンの偵察によると、国境近くの村は諸手を上げてオダ帝国軍を迎え入れる感じでは無く、とりあえず乱暴、狼藉、そして略奪が起きないように住民が身を潜め様子を伺っているような感じとの事です。
そしてオダ帝国軍の本体は昨日のうちに進軍を続け、昨晩は仮の野営陣地を築いて夜をあかし、今朝早くから再度進軍を開始したそうです。
そしてノンザイル王国軍はと言うと、どうやら首都が騒がしい感じらしく、どうやらオダ帝国軍の侵攻が伝わり慌ただしくなったのだろうとの事です。
こんな時、偵察に出ているのがゴブリンじゃなければ首都の中まで調べられるんですけど手駒は主にゴブリンなので細かい所が調べられないのが歯がゆい感じはします。
とはいえ、伝令の騎馬が首都から四方に走り去ったとの事なので場合によっては兵力を集中し決戦を挑むつもりかもしれません。
そうなると、山下さんが言っていたように血はあまり流れないと言うのがウソになります。
まあそんな感じはしていたけど、多くの流血は避けて欲しい所だよね、実際に融合後にノンザイル王国の王族とかがオダ帝国を批判しそれに付け込んで内政干渉をしようとする国も出て来るだろうし、実際に飢餓に苦しんでいない様なら侵攻を止めてアズチに引き返してもらいたいんだけど…。
そんな事を思いながらも、今後の偵察と何か大きな動きがあれば報告するようにゴブリン達に伝えておきます。
その後、二ホン砦に向かいゴブリンの引っ越し準備の状況を確認しますが、どうやらこちらは特に問題も無く着実に準備が出来ている感じです。
それにしてもグランバルさんは入植者を送るとか言ってたけど、9000匹近いゴブリンが生活していただけあって結構広いんだけどその辺は考えてるのかな?
100~200人ぐらいの入植者だと管理しきれないんじゃないかな?
あとでグランバルさんに伝えておかないと、田畑の管理すらしきれずに土地も建物も持て余す感じになるよね。
実際の所、管理しきれずに荒れるのはいいんだけど、若干、ゴブリン達が苦労して開墾した田畑が放置されて荒れるのは癪に障るし…。
そんな事をふと思ったのでプレモーネに移動をしグランバルさんの所に入植の確認をしに行きます。
「予定では200~300人規模の村のつもりだったんだが、それじゃあ少なすぎるって事か?」
驚いた様子で質問をして来るグランバルさんに、ゴブリン達が肉類以外の食料を20%程は自給をしていた事伝えると、食料の殆どを自分が用意していたと思っていたようで、頭を抱えています。
「大体1000人規模の入植者が居ないと二ホン砦の維持と開墾した田畑の管理出来ませんよ。 それにまだ作物を植えていないだけで開墾だけした畑とかもありますし…」
「マサト、ゴブリンってそんなに働き者の魔物だったか? 俺の記憶だと、動く物なら何でも襲って喰う魔物なんだが…」
「そうですね、実際の所、ゾルス達の同族支配による教育が行き届いているって感じでしょうか。 野良ゴブリンは基本的にグランバルさんの記憶通りですよ」
「そうか、入植者の人数は再度検討させてもらう、まあ第一陣という事で当初の予定通り明日にでも出発をさせるが、順次入植者を増やすようにしよう」
そう言って大きくため息をつくグランバルさんですが、こんな事なら二ホン砦を中心に出城も築いてその周辺も開拓しておけば良かったかなと思います。
うん、出城まで築いて開発してたら多分グランバルさん倒れるだろうな…。
とはいえ、プレモーネから二ホン砦までの道も整備されているし、農業と狩猟が主な産業となるだろうけど農作物の収穫量はそこそこあるし、燻製などを作る設備も技術もあるから特産品は無くても何とかやって行けるでしょう。
防衛設備も万全だし多少の魔物の襲撃なら籠って居れば突入は早々されないしね。
うん、今頃になって気が付いたけど、グランバルさんは自分の領地にこんな物騒な砦築いてたのによく文句言わなかったな…。
ていうか気が付いていなかった?
入植者を200~300人って見積もってたから気が付いてなかったのか…?
大物なのか抜けてるのか。
まあ自分を信頼してくれていたと思う事にしよう。
あとがき--------------------------------------
2021年4月29日から新作の「戦国時代の初期にタイムスリップ? いえ、ここは異世界らしく天下統一の為に召喚されたみたいです」を投稿いたします。
5月度は毎日更新しますのでお読み頂ければ幸いでございます。
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