第221話急ぐ理由

300日目


朝起きて朝食を食べようと椅子に腰を掛けた瞬間に目の前が真っ白になり、直後、全面が白で統一された部屋に居ます。


「あなた、そろそろ地球のどの辺に融合して欲しいか決まった?」


そう言って椅子に座り足を組んで見下ろすネレースに、期限はまだ先じゃない? と聞きますが、ネレースとしては一日でも早く融合を進めたい様子で「そんな事言ったかしら?」と言って自分の抗議を煙に巻きます。


なんだ? なんでそんなに急ぐ必要があるの?

もう地球との融合は決定事項のはずで、悠久の時に存在するネレースからしたら急ぐ必要性も無いはずなのに、何でそんなに急ぐ?


そう思いながらも、大まかに、日本の太平洋側にドグレニム領と、バイルエ王国、パルン王国とクルセルをくっつけた状態で融合、それ以外は特に希望無しと伝えます。


大体、東京を起点として東の海上で日本の排他的経済水域外から少し離れた場所を指定しますが、ネレース的には特に気にした風も無く、「じゃあそこにしてあげるわ」との事であっさりと了承されます。


「なんでそんなに急いでるの? 急がないといけない理由でもあるの?」

ふと思っていた疑問をネレースにぶつけてみますが特に何もないとそっけない返答をされます。


これはなんかありそうだな…。

その後も、色々と探りを入れながら雑談をしますが、心が読まれているからでしょうか、焦っている手掛かりは全く手に入らず、ストレートに聞いても急いでいないの一点張りです。

これは絶対に口は割りそうにないし、なんかやらかしたから焦ってる感じのような気がしてきた。


そう思いながらも、あえて話をそらし、ネレースにヌスターロス大陸には地下資源などはあるのかと質問をしてみます。


「地下資源? それは何を指しているの? 金属? 宝石?」

「まあそれもあるけど、石油とか天然ガスとかそう言うのはあるの?」


そんな質問にネレースはあると言いますが、という事は、過去に恐竜みたいな大型動物が居たってこと? それとも別の生き物が居た?

そう思っていると、自分の心を読んだのかネレースが口を開きます。


「貴方の疑問はもっともね、まあ簡単に言うと大型生物は居たわよ、人間が生まれるはるか昔にね、まあ全く面白みも無かったからリセットしたのよ、まあ後は、今回の融合に際しウェースにあるヌスターロス大陸以外の大陸の魔力を集約したから、そこに住んでた全てが死滅し、魔力と一緒にそう言う資源もヌスターロス大陸に集まっているわ」


そう何の罪悪すら感じられないネレースに、そこに居た生き物たちを滅ぼして大地を枯らして心が痛まないのか質問をしますが、ネレースは何故? といった顔をしています。


ネレースにとってはウェースに居る人間も生き物もどういう存在なんだ?

神と言うなら、自身が管理する大地に住む命あるものを見守るのが普通じゃないのか?


ネレースと話せば話すだけ疑問が湧いてきます。


「まあ私が聞きたかったことは聞けたからあなたは帰っていいわ」


そう言うと目の前が真っ白になり、自宅に戻ります。


う~ん、ネレースは何を急いでる?

それよりも、他の大陸の命が失われ、木々も枯果てた死の大地状態にしてまで融合を何故する必要がある?


そんな事を思いながら朝食を食べていると、グランバルさんからの使者がやってきました。

どうやらオダ帝国から日本人がやって来たとの事で、恐らく自分を出せと言っているとの事です。


オダ帝国の日本人、一応こちらから接触を狙っていたから向こうから来てくれたのはいいんだけど、目当ての人間じゃなかったら意味無いし、まあとりあえず領主館に行ってみるか…。


そう思い朝食を済ませて転移魔法のゲートで領主館に向かいます。


領主館の応接室にはグランバルさんと何故か月山部長、そして恐らく日本人と思われる3人組が居ます。


オダ帝国から日本人の使者、わざわざ向こうからお越しくださるとは…。


こっちが苦労して調査した労力を帰して欲しいね、まったく。

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