第214話報告
292日目
昨日は夜遅くまで宝物庫の財宝や書庫の本を回収していましたが、流石に数が多く、町にある品の回収までは出来ませんでしたので、朝一で二ホン砦にゲートを繋ぎ、ゴブリン達を2000匹追加で呼び寄せます。
ロゼフの指揮のもと、呼び寄せた2000匹のゴブリンには武器、防具、魔道具、衣類、生活用品に事に集積するよう指示を出し、自分と、既に捜索などをしていた1000匹のゴブリンは結晶に閉じ込められている人を日本に送る作業をします。
10時になりゲートを開くと、そこは倉庫のような広い場所なのでどこかの自衛隊駐屯地の倉庫なのでしょう。
鈴木さんや対策室の面々に加え迷彩服を着た自衛官さん達も多数待機していて、ゲートが開くと一様に驚きの表情を浮かべています。
「とりあえずこれから結晶ごとそちらに渡しますんでどこかに並べておいてください、そのうち氷が解けるように結晶が解けてしばらくしたら目を覚ますと思いますんで」
そう言うと、自衛官さんは驚いた表情を浮かべつつもバケツリレー方式で結晶を運ぶべく整列を始めます。
ゴブリン達にもバケツリレー方式を教えていたので最初のうちはスムーズに行きましたが、こちらの地下室は円形でびっしり結晶に閉じ込められている人が居る為徐々にペースが落ちてきます。
とは言えゴブリン達も順番に休憩を取らせながら作業をする事数時間、2万人を日本に戻すことに成功します。
「武内さん、これで全部ですか?」
「ええ、多分2万人居ると思います。 あと死んだ人が千人以上居ますが、他は各国にて保護されています」
そう言うと千人以上の死者が居る事に眉を顰めつつ鈴木さんが後の処理と報告をするとの事なのでゲートを閉じて作業を終了します。
まあ自分はゲートを維持するだけで働いたのはゴブリン達だから疲れてはいないけど、なんかこう精神的に疲れるんだよね…。
まあとりあえず地下室を出て外で休もう。
そう思いゴブリン達を率いて王宮を出てロゼフの所に向かいます。
そう言えばソパニチア王国の捕虜、土田に連絡して交渉せずに解放するように伝えておかないと…。
どうせ地球と融合するんだったら人権問題とかも出てきそうだし、とっとと面倒事は片付けておかないと。
293日目
ロゼフが指揮するゴブリン達が町にある使えそうな品々を集めて集積をしていますが、恐らく今まで見たどの国の首都よりも大きな街の為、すべてを集め終わるわまでにはそれなりの時間がかかりそうです。
それでも夜遅くまでゴブリン達が集めて来た品々は相当な量で、見た事も無いような魔道具に見事な剣や鎧、そして昔この国で使われていたであろう金貨や銀貨などが分別されて集積されています。
「ロゼフ、どの位で集め終わりそう?」
「そうですな、町が大きすぎて何とも言えませんが数日はかかるかと…」
そう言うロゼフは簡単に作成したであろう町の見取り図を眺め、物品を回収した場所に印をつけています。
「じゃあ自分は一旦プレモーネに戻って、明日の朝にまた回収に来るからよろしく。 あとそんなに急がなくても良いからね」
そう言って転移魔法のゲートを開きプレモーネに戻りその足で、相談所に向かい月山部長に事情を話します。
「武内君、それは本当か!! 2万人を救出して日本にもどせたのか?」
「はい、まあ正確に言うと、結晶に閉じ込められて魔力供給要員になっていた人達を発見したらネレースに方から接触してきて色々と喋ってくれたんですけど」
「そうか、でも2万人もの人が無事だった事、そして日本に帰せた事は大きいぞ」
「まあそうなんですけどね、ネレースの言っていた地球にヌスターロス大陸を融合させて地球の神になるとか言ってましたし、2万人を発見して日本に戻せたと言っても素直に喜んでいいのか…」
そう言う自分に月山部長も同意したように考え込みます。
「武内君、この件は日本政府に伝えたのか?」
「はい、内閣官房副長官の田川さんに伝えてあります。 異世界転移なんてものを目にしてるので今回ネレースの言っていた件も現実離れしていますが信用してくれると思います。 とは言え対策の立てようなんて無いんですけど…」
「そうだな、対策と言ってもな…。 そもそも地球上の何処にヌスターロス大陸を融合させるかもわからんし、融合させたことでどんな事が起こるのか予想もつかないな」
「そうなんですよ、とは言えネレースに聞いても答えるとは思えませんし、とりあえずこの件はグランバルさんとバイルエ王国のロ二ストさん、あと土田に伝えておきます」
そう言って一通り話を終えると相談所を後にして領主館のグランバルさんに状況を説明します。
案の定グランバルさんも驚きを隠せていませんでしたが、近隣の領主にも同様の内容を伝えると言い書状をしたため始めたので、領主館を後にして土田の所に向かいます。
土田は旧ウェース聖教国の首都キャールに居るかと思いきや、未だに砦に待機をしているとの事で、砦に向かい土田を呼び出します。
「おう、武内、使者はまだ帰って来てないぞ、どうしたんだ?」
そう言ってのほほんとゆったり歩いて来る土田を二人だけになれる部屋へ連れ込み事情を説明します。
「はぁ? どういう事だよ! 2万人は魔力石に魔力を供給する道具扱いされてたって事か? ていうかそれより地球と融合ってどうするんだよ!」
「いや、どうするって言われてもどうしようも無いだろ、ネレースいわく、自分達の転送も、2万人をつかって魔力石に魔力を集める事も計画通りだったみたいだし、どうしろと?」
「まあ確かにな、俺らに何かできるって事は無いよな…」
「ああ、出来るとしたら何時何処にどのようにして地球と融合させるかを調べる事と、可能なら融合に際して起きうる事態、地震や津波、海面上昇などどんなことが起きる可能性があるのかネレースから探る事ぐらいだろうな」
「確かに、言われてみたらそうだよな、地球にこのヌスターロス大陸を融合させるとなるとどんな事が起きるか分からないもんな」
「そうなんだよな、それにヌスターロス大陸に住んでる人や国はどうなる? それに地球に魔物まで溢れる事になりかねんし、魔力も地球に溢れるようになるからかなり問題が発生するぞ」
そう言うと土田は頭を抱えて考え込んでしまいますが、土田だけでなくこの話を聞いた人間全員が頭を抱え込んでしまうような問題の為、これぞと言った解決策も答えも出て来る訳がありません。
「とりあえず土田、ソパニチア王国の捕虜を解放してしまおう」
「はぁ? なんでそこで捕虜解放の話になるんだよ!」
そう言って抗議の声をあげる土田を落ち着かせ説明を始めます。
うん、やっぱり説明しないと納得しないか…。
仕方ない。
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