第86話拡張中の道

109日目


朝起きたら朝食を摂って身支度を整えたら領主館に向かい使節団の見送りに加わります。

グランバルさんの話では迎賓館に置いていた日本の品をいくつか買って帰りたいとの申し出があったそうですが、在庫の関係上という事で今回は断ったとの事です。


うん、先に言ってくれればボッタクリ料金で多少は販売したのに・・・。

そう思いながら段ボールにシャンプー・リンス、石鹸、ウイスキー、焼酎、日本酒、ワインを詰めてグランバルさん経由で土産として使節団に渡すように手配をします。


最初グランバルさんは必要ないと言ってましたが、ウェース聖教国の上層部が日本の品を気に入ればボッタクリ価格でも買う上客になると伝えたら納得したようで使節団に土産として渡したようです。


使節団の出発の時間になりグレームさんをはじめステレーネさんや数人がグランバルさんに挨拶をし馬車に乗り込みます。

ステレーネさんは自分の所にも来て挨拶をしていきましたが、あれだけ好き放題言ったのに侍女の人達も怒るどころか無反応だったのがふと気になりました。

お決まりのパターンだとザマス!とか言いそうなお付きの人が無礼ザマス!とか言ってくるんだけど・・。


そう思っていると出発のようでグランバルさんが馬に乗り先導の準備を始めましたので、自分もラルに跨りグランバルさんと並んで先導を開始します。


沿道には多くの人が見物に来ていますが、やはり皆さん聖女が気になるのか馬車が通るたびに歓声が聞こえます。


門まで行き使節団が外の外に出て帰国の途に就くと、門が閉まり沿道の人々もまばらになっていきます。

「前回も思ったんですが、毎回自分がここに居る意味ありますか?」

「まあ俺の有事の際の保険だな、それにドグレニム領の重要人物の一人と認識させる意味合いもある」


「そうですか、まあ暫くは使節団も来ないでしょうから、自分はこれから道の拡張整備現場に行って進捗を確認して、明日からは城壁の拡張を再開させますんで」


そう言って先ほど閉まった門を再度開けてもらいラルに跨りゾルス達のいる拡張整備現場に向かいます。

うん、普通に頼んだけど、ゴブリン軍団の食料とか考えてなかったんで、食料不足に陥ってないか心配です。


暫くすごい風圧を感じつつラルの背に揺られるとルイロウ領に続いていると言われた森を抜ける道に出ました。

うん、思ったよりしっかりと整備出来てないね・・・。


と言うより二ホン砦に向かう道もそうですが、木を抜いて大きな石どかしてその穴に土で埋めただけなので、パット見でもデコボコで雨が降ったら地面がぬかるんで車輪が泥に取られること間違いなしです。


幸い木を抜いた後の道幅は20メートル位あるのでゾルス達を見つけた後、思いつく道具を渡し再度道作りのやる直しを指示しようと思います。

道をしばらく進むとゴブリン達が見えてきます。


先導をさせていたアルチが知らせたようでゾルスも作業をやめてこちらに向かって来てきました。

「ゾルス、土木工事の際は鎧脱いだ方がいいと思うよ?」


そう言いたくなるほどゾルスは泥だらけで作業をしていたようです。

「左様申しますがマサト様から頂いた大切な鎧ですので砦に置いてくるのも心配で・・」


確かにゾルス達ゴブリンはアイテムBOXを持ってないのでゾルスのいう事も納得です。

「ゾルス、鎧入れる箱を作るからそれに入れて、食料などの管理をさせるゴブリンに守らせな」

そう言って道の端に積んである丸太を錬成術を使用して木箱を作りゾルスに渡します。


「それで道の整備拡張はどのくらい進んでるの?」

「はい、おおむね森の2/3程は進んでおります」


「2/3か、結構進んでるね、まあちょっと手直しと言うか再整備が必要だから一旦この辺りの森の中に拠点を作って作業を進めて」

「かしこまりましたが、再整備が必要ですか?」


「そうだね、今のままだと道がデコボコだし、雨が降ったら地面がぬかるんで馬車とかの通行に支障が出そうだから、一旦拠点を作った後に思いつく道具を作るからそれを使って再整備をしてもらおうと思ってる」

「ありがとうございます。では拠点はどのあたりに?」


「う~ん、道からは見えにくい場所が良いから少し森の中に入った所に拠点を作ってそこに食料とかを保管して食事とかはそこで摂るようにしようか」

そう言いながら森の中に入り50メートル位進んだ所に錬成術で大きめの屋根だけしかない東屋風の建物を数軒と食料保管用の倉庫代わりの建物を1軒立てます。


うん雨が防げれば良いでしょう。

あとは、スコップとツルハシ、そしてタコと言われる昔ながらの2人一組で地面を叩いで固める道具を多数作りゾルス達に使い方を教えます。


「とりあえず、簡単に言うとスコップで土を道に敷き詰めこのタコで叩いて固めて平坦にするその作業の連続だね」

「なるほど、このタコというもので地面を突き固めて平坦にすると」


「うん、まあ舗装して無いから時間が経てばデコボコになるけど暫くは大丈夫でしょ。あと食料は倉庫に米と麦、あと魔物の死骸おいて行くけどこれで足りる?」

「はい、食料に関しては、この近くの魔物を狩って食べておりましたので何とか足り出ましたが、これからは狩りに行く者を減らして工事の手を増やします」


「そう、それは良かった、ていうか何匹ゴブリン率いて来たの?」

「はい、大体450程でしたが、今は700程になっており、そのうち今300程で狩りをさせています」


「450匹連れてきて、現在は700匹・・増えたんだ・・・。じゃあ食料と工事道具はもう少し追加しとくから、あと人間に見つからないようにね」

「ありがとうございます。それと人間が通る際は森に入りやり過ごしておりますのでご安心を」


「うん、じゃあ大丈夫だね。とりあえずこの道が終わったらサンダーウルフ伝令にして教えてね、その後は連続で申し訳ないけど西側の森にある道の拡張整備になるからみんな体には気を付けるようにしてね」


指示をだしたあとはゾルス達が抜いた木を丸太にしてくれているので丸太をアイテムBOXに回収し、夕方までの間、拡張予定の道周辺の土を錬成術で柔らかくしゾルスが木を抜きやすいようにしてからプレモーネに戻ります。


まあゴブリン軍団700匹のうち狩りに行っていた300が工事に加われば速度も上がりそうなのでそれなりに早く拡張整備が終わるでしょう。


そしたら次は西の方向にある道がロニーニャ領へと続く道を拡張整備してもらいましょう。


そして町について思ったのですが、ゾルスに言ってゴブリン軍団を増員させて道の近くの魔物を狩らせればそれなりに道の通行が楽になるんじゃ・・・・。


まあいいか。

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