第2話「夢幻の誓約」序章
古代の彼方に消え去った至宝の数々がかつて納められていた場所。改めての説明が不要な神話が今も眠る古代王の墓所…そして様々な英雄達の起源が刻まれた星の記憶を管理するポータルとしての機能をも擁する絶大な優先度で封じられた棺。
…様々な側面であらゆる根源を縛るその領域は、支配者たるかの王がこの世から旅立った後も稼動を続けてこの世界の意思決定機関のごとく振舞う事をやめずにいる。 様々な時代の皇帝、教皇、神祇庁の長たちが魅入られ掌握を試みた歴史は深く、未だに魔術界や陰陽界に苦い記憶を刷り込んでいた。
それでも「私ならば、俺ならば」と挑む”自殺志願者”は後を絶たない。そして「もしかしたら自分が」との微かな希望はまともな展望や客観視を焼き尽くして志願者達を際限なく飲み込むのだ。それを哀れと思うのぐらいは許されてしかるべきだろう…。その醜態が語り継がれるのはむしろ慈悲でさえある筈だ。
しかし日が沈み月が昇る事と同じ様に今日もその領域は勇者志望の犠牲者を飲み込む。 歴史を紡ぎ歴史を残すのが勤めである筈の当代の記録者もいつしか夢を見てしまうのだろう。不老不死程度では希望が見出せない事案である事を理解していながらも。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます