第11話『アシスタント兼ガード兼影武者』
まりあ戦記・011
『アシスタント兼ガード兼影武者』
どこから見ても同一人物だ。
間近に見ると瞳の光彩まで同じだ。
「てことは、指紋も……?」
みなみ大尉は二人の手を取って比べてみた。
「あら、指紋は違うのね」
「あ、右手と左手ですよ」
「あ、そか」
改めて右手同士で比べてみる。
「う~~~同じだ!」
二人のマリアはコンビニ袋を持っていることを除けば同一人物だ。
「あたし、アシスタント兼ガード兼影武者のVR10201(ブイアールヒトマルフタマルヒト)です」
コンビニ袋が言った。
「アシスタント兼ガード兼影武者?」
「VR10201?」
「はい!」
元気に答えるコンビニ袋。
「ひょっとして……アンドロイド?」
「所属区分はアクト地雷です」
ヒエーーーーーー!!
マリアも大尉もリビングの端までぶっ飛んだ! アクト地雷には先日お世話になったばかりだからだ。
「あ、爆薬は入っていません。この任務のために五段階バージョンアップしています。えと、旅団防護隊から派遣されてきました、お二人のサポートとセキュリティーが任務です。まりあと同じ外形なのは、万一の場合身代わりになるためです。外形的な特徴はウズメに搭乗したときに記録したデータで出来ていますのでそっくりだと思います。ご承知かとは思うのですが、ここで寝食を共にさせていただきます。また、必要に応じてまりあの替え玉になって行動させてもらいます、場合によっては、お二人の了解を得ずにすることもありますのでご承知おきください」
「あの、服とかが二揃えあるのは……そういうこと?」
「はい、影武者ですから」
「ベッドが大きいのは、ひょっとしていっしょに寝たりする?」
「おっしゃる通りです、大尉」
「え~~~そんなあ!」
「そういうことなのでよろしくお願いします。じゃ、せっかくなので共同生活開始のパーティーをやりましょう、コンビニでいろいろ買ってきました!」
10201は、コンビニ袋から色々取り出し手際よくテーブルに並べた。
「大尉、乾杯の音頭をとってください」
「あ、うん。では、あたしたちと10201との良き共同生活の……」
「そこ、三人と言ってもらえると嬉しいです」
「えーー。三人の出発を祝して……」
「「「かんぱーーい!」」」
三度ばかり電子レンジのチンが鳴った時、大尉が切り出した。
「えと、10201じゃ長ったらしいから、なんて呼べばいいかなあ?」
「まりあと呼んでください」
「それじゃ、いっしょじゃん」
「マリアです。まりあとはちがうでしょ? まりあとマリア」
「えーー分かんないよ」
「分かるようになりますよ、まりあとマリア」
「ていうか、慣れてくると微妙に声違うように感じる」
「若干変えてます……カンコピしたら『ほら、あたしってまりあでしょ?』」
「アハハ、ほんとだ」
まりあは、自分ソックリなマリアに違和感が無くなってきたようだ。
パーティーがお開きになると、三人でジャンケンをして風呂の順番を決める。
「あんたたち、いつまでアイコデショやってるの?」
マリアとまりあは勝負がつかない。
「「じゃ、いっしょに入ろうか」」
なかよく声が揃って、二人で浴室に向かった。
「はてさて、どういうことになりますやら……あ、ビールないぞ」
するとビールのストッカーがモーター音をさせながら大尉の足元までやってきた。
「おー、これは気が利いている!」
『飲み過ぎには気を付けよう!』大尉そっくりな声がした。
ビックリして向き直ると、大尉ソックリなインタフェイスがテーブルの上でニコニコしていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます