第2話 誰もわかってくれない(一樹)

 一樹は母の智里ちさとと、学校の校長室にいた。ほとんど、ここにいる間は、母がその人らと話している。僕のことをちゃんと考えてほしいと何度もお願いをしてくれた。それでも、まじめに考えてくれる様子もない。今まで「きもい」「ブス」など悪口を言われてきた。挙句の果てに、あいつらは無視をしてきた。僕の存在など、なかったのかように、悪いとすら思っていない。絶対に頭がおかしい。

 性格の曲がっている担任教諭の田村の姿は、いつものように人を馬鹿にしている様子で座っている。そして、こいつは何もしてくれない。それでも、ちゃんと学校に来て、教室でみんなと授業を受けたいという気持ちを学校には抗議してきた。そんな気持ちを裏切っていく。そして人の気持ちを踏みにじってくる。隣で、貧弱な校長は辻褄あわせのように「これ以上は何もできません」と言い放ってくる。「それでも、教師なんですか?」母のため息がいつも聞こえてくる。この学校は終わっている。生徒1人を守ろうともしてくれない。いつもように、今日も話は前に進むことはなかった。僕のことなんて考えようともしてくれない。なんでここまで、人を小馬鹿にできるのだろう。

 きっと、今頃は教室では楽しい時間を皆はすごしているのだろう。人の気持ちなど何1つ考えてもくれない。一緒に授業を受けたいという気持ちすら、誰にも考えようともしてくれない。学校の対応は本当に最悪でしかない。

人の気持ちをまた踏みにじるように、別室登校はどうするのかを聞いてくる。

 別室登校といえば、学校に来たら、入り口で、ICカードの学生証を機械にかざすと開くシステムなっているので、誰にも会わずに入ることができた。そして直接、別室に行くことになっている。教室は鍵かかかってなく、勝手に入ることができた。始まりも終わりも誰の指示されたことはなかった。別室の机にプリントが置かれている。それを解いたりすれば、その日が終わる。それ以上は何も起きはしない。プリントは解き終われば帰るだけだ。その間、誰も僕の様子を見に来る人はなかった。田村は担任のくせに、本当に何もしようとはしなかった。来たら、誰とも会うことなく、終わっていく日々が過ぎていく。いつも、傷つけられて終わっていく。寂しくなって、保健室に行ったことがあるが「何しに来たの?」と保健師から冷たく言われたことがあった。その日以来、保健室にも行けなくなった。

「本人が行きたいと言ってますので」と母が返す。そんなことは1度も言ったことがなかったので、少しイライラしてきた。そんなことに気づかないのか「大丈夫?」と母は僕に言ってくる。何の反応も返さなかった。僕のイライラが増していく。

これで話し合いは終わりになって、別室登校は続けることになった。


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