ボス討伐!ーーが
ダンジョンボスとの戦闘。俺が攻撃、エトラが防御などのサポートということになった。
「頼むぜ兄弟!」
「おうよ!おいらに任せとけ!」
役割を最大限活かす為、エトラが前、俺が後ろの直線フォメーションで行くことになった。
ボスは雄叫びを上げ、落ちていた岩を持ち上げ、振り下ろしてきた。こいつ、耐久力はあるが頭はあまり良くないらしい。チェルボとは逆だな。
エトラは空気の壁を作り、その攻撃を防いだ。俺は衝撃で粉々になった岩を、雷を纏った剣の峰の部分で相手目掛けて撃ち放った。
「くらえ即席必殺技!
岩は見事相手の顔面にヒットした。それによりボスは奇声を上げながらひたすらに辺りを破壊しまくっていた。俺たちは一旦距離を取り、作戦を練ることにした。
「うひゃー!大層ご乱心だな!まあ石ぶつけられてんだしそりゃそうなんだけど」
「どうするエトラ?このままだと底抜けるぞ」
そのことも考えると早めに終わらせなければならない。だがあの固さの相手に手早く終わらせる手段がない。さてどうするか?
「なぁ蓮。あいつ初撃はあんなに痛そうにしてなかったよな」
「えっ?ああ、確かに」
「てことはさ、頭が弱点、ってことなんじゃね?」
「まぁそうかもな。だがあいつの固さのを考えれば魔法は直接打ち込まなきゃいけない。あの暴れてる中に突撃するのも危険だし、何より意外とあいつでかいからな、ジャンプでは届かなさそうなんだが」
俺の身長が170センチ(ほんとは169.7)に対しボスの身長は兜を被っている為正確ではないが大体3メートルはいかないくらいか。そんな奴が暴れてるんだ底抜けも心配になろう。
「ふふーん、蓮お前俺たちが見せた戦いを忘れたか?」
「ん?何を……ああ!あれな!」
「そうそう!でも今のままだと近づけないのは変わんないからさ、どうにかあの動き止めないと」
確かに、あれを止めないことにはどうしようも無い。今ある手札で止められる方法はないか?雷、砂、施錠……多少危険だがこの方法ならいけるかもな。
「エトラ、作戦がある。俺に施錠魔法1回分くれないか?」
「えっ?まぁべつにいいけど……何をすんだ?」
「あいつを--転ばせる!」
「転ばせるって!……そんなのどうやって?」
「まず雷を纏い高速であいつに接近する。そして足元に砂を撒き、それを施錠して歪な形の段差を作ってやるんだ!あいつ鈍臭そうだしそれに引っかかって転んでくれないかと」
「な、なる程。まぁあれになら通じるかもな。でもそれ危なくないか?あの乱心状態の中に突っ込むって」
「ああ、危険だよ。だが俺の頭じゃこんくらいしか思いつかんのでな。あ、そうだ。エトラはその間に例のもの作っといてくれよ」
「蓮って冷静なやつかと思ってたけど意外と違うんだな」
「うるせぇ、クールなんて自称したことはねぇよ。俺はいつだって熱いの大好きジャンプっ子だ」
「ジャンプ?よくわかんねぇけど取り敢えず乗ったぜ!そういう行き当たりばったりな感じおいら好みだ!」
施錠魔法を貰った俺は、気を落ち着かせるため一呼吸置き、再度集中し直した。そして雷を纏う。ここからはスピード勝負だ。遅ければ遅いほど危険度は増す。信じてるぜ俺!
「3.2.1……GO!」
俺は猛スピードでボスに特攻した。たびたび飛んでくる岩もしっかりと避けながら着実にかつ最速で近づいていく。そしてついに足元付近まで来たのだが、いかんせん近づけない。遠くで見ていても危なそうだったが、近くに来るともはや怖いレベルだ。
「くっそ、あと数歩がいけねぇ!ああもう、施錠魔法が魔法に乗せられたら……!」
出来ないことをうだうだ考えても仕方ないな。切り替えろ俺!今までの経験から何か出来ないか?考えて--
「あ、あったわ。まぁ余計危険だが」
まぁいい!やってやる!
「エトラ、俺足止めの仕方変更するわ!お前はそのまま続けててくれ!」
「おう!頼むぞ!」
アリアさん直伝、そしてディアスのアイディア頂戴、「
すると、ただでさえ崩れそうだった床は抜け、ボスは落下しそうになった。しかしそこは流石のボス。床を両腕で抑え、すんでのところで踏みとどまった。だが--
「悪りぃな、ここまで計算通りだ!」
俺は空いた穴に砂を撒き、そしてそれを施錠した。つまりボスを穴に閉じ込めることに成功した!さぁラストは頭を叩くのみ、埋めたこの状態でもまだ頭までは意外と高い。だがこれも想定済みだ!
「エトラ、準備いいか?」
「あたぼうよ!ほらさっさと--登っちまえ!」
俺がエトラに用意してもらったもの、それは見学の時に見た空気の階段だった。俺はそれを利用しボスの真上へと飛んだ。
「サービスだ!今いる真上に足場を作った。それ使って加速しろ!」
「ん?この辺ーーか!」
ダン!という激しい音を鳴らし俺は加速してボスへと突撃した。
「悪いな、これで終いだ……!
しかしボスは今まで以上の雄叫びを上げ、両手を振りかざし攻撃してきた--と思った時、ようやく霧散してくれた。
やっと終わった。強敵、というよりは難敵だったな。疲れた。俺は施錠魔法で固めたところに着地し、息を吐いた。
すると見計ったかのタイミングでバルク達が近づいてきた。
「よぉ蓮!ボスをやったんだな!お疲れ!」
「ああ、そっちもお疲れ様。あの数相手だと大変だったろ?」
「まぁ確かに多かったが、あれでも結構少ないぞ」
えっ?あれで少ないの?ソロとか絶対無理だな。
「確かに、今日のダンジョンに限らずモンスターは少なくなってきている。他のギルドメンバーからもそういった報告があがっているそうだ」
「少なくなってる?そりゃ冒険者が倒しまくってるからじゃ--」
あんだけやってればそりゃ数も減るだろうに。何を言って--
「その数の減り方が異常なんだよ。今までは減っても徐々にだったが、最近は3分の1くらいガッと減った感じだな。今ギルドが原因調査中らしいぜ」
異常減少ね、確かに冒険者からすれば手痛いのだろうが世の中的にはハッピーだろう。
「そうだ!俺の砂魔法使い切ったんだろ?ストックしとけ」
「おお!ありがとう!
俺は魔法を吸収し、ストックを確保しーーあれそういえば俺が今いるとこって……!
「あ……やべ」
「--のわぁぁぁぁぁぁ!」
ここですぐ施錠魔法を使えばよかったのだが、焦りからか完全に飛んでいた。
やばいやばいやばい!死ぬ死ぬ死ぬ!
真っ逆さまに落ちていき、底が見えた瞬間、--あ、死んだ。そう確信し、目を瞑った。
--痛みがない。もしかして即死したのか?それにしては意識とかはっきりしてんな。肌の触感もあるし……俺は恐る恐る目を開く。暗い空間、幸いにも多少は見える。
そういえばさっきから下になんか違和感が……そう思い、下を見てみると--
「--えっ?ルニアさん?!」
一緒に落ちたはずのないルニアが俺の下敷きになり倒れていたのだ。
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