続 平凡な俺と完璧美少女 親子二世代編

翔也

第1話 二世代編

 ピピピ――


「ふあーあ……もう朝……」


 私、芝崎結希しばさきゆきは近くの高校に通う華の女子高生。まだ寝てたいけど流石にそうはいかない。


「今日から達也の入学式だもん、しっかりしないと」


 私の可愛い弟の達也が入学してくるんだ。お姉ちゃんらしいとこ見せないと!

 私は制服に着替えて、リビングへと向かった。




 ☆




「おはよー、お母さん」


「結希おはよう」


 んー!良い匂い!やっぱりお母さんのご飯は最高だー!!


「姉さんおはよ、今日からよろしく」


「はひ、がんばりまふ!」


「結希、ちゃんと食べてから話せ」


 そう私に苦笑いをしながら正論をぶつけてくる人が私のお父さん。達也と違って、表情が全く顔に出ない。


「はーい……ってやばっ!達也先行ってるね!いってきまーっす!!」


 慌てて家を出た時に、家の門の前で一人の男の子が待っていて振り返った彼と目が合う。

 ドキッ―――またこれだ、こんなので大丈夫かな私……。


「おはよ結希……ってなんで顔背けるの?」


「な、なおくん、お、おはよ!気のせいじゃない?あ、あはは」


「?んじゃ行こうか」


 隣で歩いている男の子は藤崎尚輝ふじさきなおき、私の幼馴染であり初恋の人。

 気付いた時からずっと一緒で何をするにも、二人だ。


「そういや達也が入学してくるんだっけ?楽しみだなぁ……こうやってまた三人で学校行くの」


「その前に私達の始業式だけど……?」


「また一緒じゃねえの?」


 そう私達は幼稚園から今までずっと一緒のクラスで、別々になったことがない。

 流石に中学の部活だけは別々だけど。


「はぁ……こんな調子で大丈夫かな私」


「何の話?」


「何でもない、いこっなおくん」


 私達は足早に学校へ向かった。




 ☆




 学校へ着くと私達はクラス表へと視線を移す。

 今年は三組かと思って、なおくんの名前も探すもまた一緒だった。これって運命……?


「やったっ……!」


 小さな声で小さくガッツポーズをしていると、後ろから抱き着かれる。


「なーにが良かったのかなぁ?結希ぃ~?」


「ひゃっ!?もうっ!遥香!」


 こうしてからかってくる謎の女の子は、私の友人の渡辺遥香わたべはるか。中学からの友達。

 私と違って、誰とでも話せるフレンドリーな性格でかなり人気な女の子で、毎週誰かに告白され続けるぐらい。


「尚輝くんもおはよ、また一緒だね?頑張れよー結希」


「ちょっ……!もう……」


「また一緒、だったな」


 となおくんが言う。それが少し嬉しかった。


「うん!えへへ」




 ☆




 入学式も終わって特に変わったことはなく、そのまま放課後に入り、帰宅準備中に事件が起こった。

 何やら廊下が騒がしい、誰か来たのかな?


「あっ……達也」


「あっ姉さん、尚輝さんも一緒に帰ろうよ」


 なんで達也がここに……?


「姉さん?」


「えっ?ああうん、帰ろっか」


 そしていつもと変わらぬ通学路に達也が加わった。

 この時の私はまだ知らなかった、達也が加わったことでなおくんとの関係が一気に変わるだなんて。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る