第132話 竜人 竜人の守護者アレルドとセルト

「竜人の守護者 あれは黒の王たる者達の為のものだ」


閨で竜人達の事を話していた時

黒の王アージェントは自分の残った片眼の瞳でエリンシアを見て言ったのだった


長い黒髪が揺れる エリンシアの金の髪を撫でて笑みを浮かべ

「竜人 あれは特別な生き物、黒の王達の為に出現した

先日の魔法画の老人さえ、元は戦士‥…戦う為に生まれたもの」


「竜人の守護者が一人、大抵は必ず現れて黒の王を守護する それが定め」


「名高い救国の黒の女王であり火焔の女王、火竜王ヴァルジニテには

二人守護者がいた あれは例外」微かにまた口元に笑み


うとうとして‥

半ば眠りに落ちつつあるエリンシアに呟くように言葉を零す《こぼす》


「だが私の息子アーシュラン、アーシュにも二人の竜人の守護者がいる

・・恐らく一人は失われるだろう それは私のアレルドかセルトの方か」


それからしばらく後の事であった

黒の王宮 その庭園で

「竜人の戦士?あれは‥」エリンシア


竜人の戦士 王宮の庭で黒の王と幼いテインタル王女と楽しそうに会話している

彼の姿、竜のうろこに包まれた肌、異形、竜の顔に尻尾


彼の鎧には貴重な金属に魔法石が使われて、大剣も貴重な高価なもの 

服装からして将軍の位

たてがみは白で数か所に淡い朱色が少し混ざっていた。


黒の王の魔法で小鳥たちが集まり、花が咲き乱れている庭園の東屋で

それは楽しそうに見えた 

あのような姿をみた事が無かったのでエリンシアは新鮮な驚きを覚える


次にテインタル王女が強請ってきたので

彼は幼いテインタル王女を抱きかかえて、笑い合っていたのだった


以前、竜人の彼と話した事を思い出すエリンシア

「私は黒の王族、三人の守護者です 白の姫君

黒の王アージェント様とテインタル王女それとアーシュ王子様」


「出会えばそれとすぐわかる、自分の主人である、自分の為の守護者であると‥

神々がそのように創られたのです‥」竜人の戦士はいう


「竜人の守護者は一人だけ、ですが例外はあります 

大昔の火焔の赤い瞳の女王ヴァルジニテ様 彼女には竜人の守護者が二人いました」


「まだ幼いアジュアリ王子には竜人の守護者は現れない 不可解な事です」


「そして、私は後に知ったのです アーシュ王子様には私アレルドとセルトが守護者

二人も守護者がいると‥これは本来、ありえないはずの事」


あの時、地方に行くと言うと話した彼、竜人とはそんな話をしたのだった。

彼の名は‥?



「まあ、エリンシア姫」手を振るテインタル王女

「エリンシア姫、共に茶と菓子でもどうかな? 

竜人の彼は私達の守護者アレルドだ」黒の王アージェント


「お久ぶりです白の姫君エリンシア姫 

軽い小競り合いの戦で留守にしておりました」竜人のアレルド将軍が微笑む

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