第130話 魔法画と‥年老いた竜人の魔法画家 家族の肖像

それから数日後・・

ある時 竜の顔をした竜をそのままの姿で人したような男が、いや老人が

城を訪ねて来た


「これは 黒の王妃アリアン様 

先日の宴では素晴らしい羽琴の演奏を有難うございましたエリンシア姫様」

「ふふ 元気そうね 私は急ぐのでまた‥」黒の王妃アリアンは立ち去る


老齢の竜人

彼は 以前 黒の王宮に同じ種族の戦士セルトと供に戦士として努めていたが

歳を取り引退して店を開いた


高級なレストランが1階にあり 2階は 宿になっていて 

そのレストランには 彼の描いた絵画が飾られて売られてるという


竜人でありながら魔法の才能がある彼は‥魔法画を描くことでも有名だった。


そう、絵も素晴らしく、しかも魔法の力が入った魔法画・・


ゴトンと連れの物達が運んできた品物を床に置く

大きな絵画が数枚


1枚は 黒の王達の家族の肖像画 普通の絵画

もう1枚は小さくこれは エリンシアを描いた絵


最後の一枚は これも大きな絵で左右の違う瞳の4枚の羽を持つ白鳥・・


「2枚は 王様に頼まれましてな・・」竜人の老人 画家が笑う


「1枚は 実は魔法画で 同じく似たようなテーマで描いた

絵があと2枚ありましてな・・

絵の中の物同士がそれぞれ仲良しではあったのですが」

軽く咳払いをして おもむろにエリンシアに魔法画を見せた


「黒の王が ぜひにと言われまして・・

いえ 実この白鳥は貴方様をイメージして描いた物なのですから」


ポンと軽く白鳥の絵に触れると 

絵の中から 白鳥が現れた! 羽ばたき 柱の上の近くに留まり

それは美しい妙なる声で鳴き出す・・その声は まるで歌のようだった


「なんて素晴らしい」エリンシアは頬をほんのり赤くして答えた


歌のような旋律の声を披露した後で魔法の白鳥は 

うやうやしく頭を下げて 再び絵の中に戻ったのだった。


後の二枚は白い竜やユニコーン、天馬などの幻獣

赤い子供の竜の絵から それぞれ絵から飛び出しエリンシアをひと時、楽しませた


「喜んでいただけて 何よりです ところで エリンシア姫様

戦士セルト殿の行方について ご存じありませんか?」


戦士セルト・・黒の王に以前使えていた者

黒の王子アーシュランの実の母親と恋人同士で その他に無実の罪で追放された者


「確か・・先日 リュース公がら聞いた御話なのですが

何でもヴァン伯爵の元にいるらしいのです 

首には魔法の呪文が刻まれた 太い金の輪を首につけ 

無表情で 何も話さず 人形のようだったとか・・」

エリンシアは記憶をたどりながら話をする


「まさかとは思いますが 

それは魔具・・魔法の呪文で 心を封じられてるのかも知れません

操り人形のように 命令以外は 何も受け付けずに」

心配そうに話す 竜の老人


「竜人、同じ種族は少なくて・・少々 心配しておりました 

まあ、消息がわかっただけでも」老齢の竜人


「しかし、もし 本当に 魔法で心を拘束されてるならば 

何とか開放させてあげられるといいのですが」老齢の竜人の画家は切なげに言う

「本当ですわね」エリンシア


まとわりつくように可愛い赤い子供の竜をあやすエリンシアに

「この赤い子供の竜はアーシュアマをイメージしましてな」「ええ、そうですの!」


しばらく後の事


「では私はこれで・・どうぞ息災で エリンシア姫」老齢の竜人 画家

「有難うございます お気をつけてお帰りくださいませ」エリンシア


そうして竜の老人は 3枚の絵を残して 黒の王宮を後にした


エリンシアの肖像画が 

彼女の部屋に飾られ 後の2枚は 白亜の柱の廊下の道に飾られた


エリンシアは 黒の王の家族の肖像画の中に

庶子とはいえ 長男であるアーシュラン、アーシュ王子がいない事が哀しく思えた。

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