第111話 故郷、白の国からの便りと黒の王女達の来訪

部屋には 彼女が奏でられる羽琴が置かれ

彼女の為に白の国の食べ物や遠い国の珍しい美味しい食事がふるまわれる事も多く


事あるごとに 黒の王妃アリアンが訪ねてきた・・

時折、赤ん坊や娘である幼いテインタル王女を伴う事もしばしばだった。


この極上の美貌の王妃は エリンシアには優しく 

よく話をした その会話はとても楽しく

また・・

エリンシアは 王妃や王女の為に羽琴を奏でた。


庭には 花が咲き乱れ 木々には小鳥がさえずる

小さな噴水が心地よい水音をさせている


白の国からは よくエイルやリアン、エイルの父 義兄からの便りやささやかな贈り物が届けられた。

懐かしさに それらの便りを胸に握りしめる


リアンや義兄の手紙には 

エリンシアの日常の心配とエイル、エルトニアの事


黒の王子・・

エリンシアと交換に白の国の人質となった黒の王子アーシュランが

義兄が世話係を引き受ける事などが書かれていた


またリアンが軍事学校に入る事になった事も


エイルの便りの手紙には 黒の王子アーシュランの事が

事細かに記述されていたのだった。


どうやら、エイルエルトニアはアーシュランの事を大変好きであるらしく

彼は 無表情でよくムスッとしてるが 

得意の火の魔法でちょっとした料理やお菓子を作ってくれたり


エイルがつまずいてこけたら慌てて駆け寄ってくれるし 

チエスの相手や黒の国の言葉を教えたりしてるらしい


王子アーシュランの方は 

白の国の言葉や文字は習得済みで 特に何も教えてあげられる事はないという

本当に無口で あまり自分からは話をしてくれなかったりするとも・・


それから リアンの事にもよく触れていた


リアンがエリンシアがあげた小さな竪琴を待って

アーシュランと三人で 

近くの森にピクニックにいた時にその竪琴で演奏をしてくれたり

部屋で 眠れないときには その竪琴で子守唄などを歌と一緒に演奏してくれると

よく眠れると・・


ただ・・

今度 遠くの軍事学校に入るので まったに会えなくなるから寂しいとも


エイルと義兄からの便りの中で 1つ気になる手紙があった

何でも 何者かが 義兄の城に侵入して 黒の王子アーシュランを襲撃したという

エイルも傍にいて 王子のケガよりは軽かったものの 少し怪我をしたと・・


犯人は 2人で黒の国の人間


襲撃犯はその場で殺してしまったので 

黒幕はわからずじまい 恐らくは 反乱分子だろうと記述されていた


それらの便りの数々を 

リアンに貰った金の髪飾りとともに 小さな綺麗な小箱にしまう

金で縁どられた 小さな宝石も埋め込まれた 綺麗な小箱


すると 丁度 後ろから部屋のドアをたたく音

「エリンシア姫様」エリンシア姫付きの女官が声をかける


「え?何」


「エリンシア姫様」可愛らしい幼い少女の声・・。


「まあ!テインタル姫様 いらしゃいませ

あら?今日は 黒の王妃様お母さまのアリアン様は?」


「お母様は 今日は公務で 近くのお城にお出かけになってます

今日は 私1人です・・お邪魔ですか?」


「とんでもない! さあどうぞ・・お茶とお菓子をお願いしますね」

女官に声をかける

「はい エリンシア姫様」


幼いテインタル王女とおしゃべりを楽しみ

羽琴を奏でたりして 時を過ごす・・


「これは 私の家族・・義理の兄とその子供のエイル、エルトニア

それと・・親戚筋にあたるリアン様」


小さな絵姿の絵をテインタル王女に見せる


「まあ この金髪の子は エリンシア姫様と同じく瞳の色が左右違うのですね!」


「オッド・アイというのですよ 王女様」


「可愛らしい子ですね それに少年の方 リアン様?

淡い金色の髪で 整った顔立ちの綺麗な方ですわ」


「そうですね」微笑むエリンシア


その後々の事 未来の御話


まさか、このテインタル王女が 

黒の王となったアーシュランの思い人のエイル、エルトニアを深く憎み


エイルの腕に 呪いの魔術をかけた焼いた印を刻み込む事になるとは知る由もない


「夕食も 一緒に食べませんか?王女様

今日は 白の国の食材を使った 白の国の美味しい食事ですのよ」


「はい!有難うございます エリンシア姫様」嬉しそうに答えるテインタル王女


幼いながらも美貌の母親譲りの面立ちの王女

成長したのちはさぞや美しい姫になるだろう エリンシア姫は微笑み思った

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