第46話 廃墟にいる敵の魔法使い

廃墟の神殿の中では アーシュとアルテイシアが飛び交う岩のかけら

石の塊に 手を焼いていた


「水の魔法! 飛びさかる石を 包み込め!」アルテイシア


岩の塊の幾つかは 水に包まれ勢いをなくして 床に転がる

「凍るがいい!」アルテイシア


ピキン 氷の塊に包まれ そのまま動けなくなる 


「大地の精霊よ 盾となり 攻撃を防げ!」とアーシュ

幾つかの床の平たい石が動き 盾となって二人の前に立つ

続けて アーシュは呪文を唱える


「風よ! 奴らの動きを防げ!」

風が吹きすさび 次々と 石つぶて・・岩の塊を壁に 打ち据える

カキン! グアアシャ! 音を立てて 砕け散る


やがて 廃墟の神殿は 静まり返る・・ 


「ククク・・岩のゴーレムに 少々 手間取ったようですな お二人とも

火竜王(サラマンデイア)・・水竜の女王アルテシア姫」


「誰!姿を現しなさい!」アルテイシア


「アル 奴の声・・どこかで聞いた気がする・・多分 昔の俺・・

俺の失った記憶の中に・・」


「アーシュ様?」


「・・・・・」

眉間に少し、しわを寄せ 何とか思い出せないかと思うアーシュ


「ふっ・・少しは昔の記憶が蘇りましたかな?

黒の王 火竜王(サラマンデイア)

私は何度も 貴方の子供時分にも いつも何度もお会いしましたよ

戦場でも 巨人族の牢獄でも・・」


「巨人族の牢獄! さては 貴方!

 昔 アーシュ様を捕らえた 巨人族の王に仕える魔法使いね!」


「流石は 黒の王の護り手の一人・・水竜の女王アルテイシア姫だけはある」

声だけが 廃墟の神殿に響き渡る


「黒の再生能力は大したものですね たとえ半分でも 半分人族の黒の王


子供とはいえ拷問で切り落とした指の多くも 

潰した片目も切り落とした黒き翼さえ再生する

・・・白には再生能力が無いですが・・くくくっ」


「・・ああ、牢屋から助け出したのはアルテイシア姫でしたね

水の癒しの治癒魔法も」


「では 大いなる魔法の力を秘めたお二人には このような物は

如何でしょうかな?」

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