第2話「アコさんが変」

GM:皆さんが詰所に出勤すると、元気なさげなアコさんに出迎えられます。「……おはようございます」


バジル:いつも通り早く出勤します。おはようアコさんって言ったところで、様子がおかしいのに気付いて声を掛けます。どうかしたのか?


GM:「え? どこか体調でも悪いんですか? ダメですよ生活態度はちゃんとしないと」と全然かみ合わない事を言ってきます。


バジル:いや、俺起きて出勤してきたところなんだけど。


GM:「すみません。ちょっと疲れてるみたいで」


バジル:何か変だな?と思いつつも仕度を調えに行きます。


GM:するとアコさんは中庭のハーブ畑に水をやりに行きますが、既に水が切れたジョウロをえんえん傾けています。


バジル:アコさん? 水切れてるよ。

GM:「あっ、すみません」


バジル:いつものアコさんらしくないなあ。一体どうしたんだい?


GM:「いえ、これは私の問題ですので……」


バジル:アコさん、俺たち銃士隊のモットーは、「ひとりはみんなの為に、みんなはひとりの為に」だろ? 俺だけじゃなく、みんなアコさんが元気ないと心配するし、気になるよ。


GM:そこでアコさんは初めて笑って「バジルさんに一本取られましたね。私事で申し訳ないんですが、話を聞いてもらって良いですか?」と言ってくれます。

バジル:おう、どんとこい!


GM:実はアコさんの実家で盗難事件が起きまして、その容疑が弟にかかってしまっているそうです。


バジル:弟が居たのか。


GM:その為に弟は勘当寸前の状態で、親子仲に亀裂が入っているそうです。


バジル:なるほどな。その弟って言うのはどんな奴なんだい?


GM:「弟は確かに素行の悪い友人と付き合いがあります。でも自分の家の家宝を盗むなんて、私には信じられないんです」


バジル:だったら直接確かめてみるのが良いんじゃないかい? 俺でよければ付き合うよ。


GM:「それが、弟は自分がやったと言い張っているんです」


バジル:あら? 自分がやった。うーん、自分がやったといっている以上、このままだと何らかの罪に問われるだろうなあ。盗難事件ってことだけど、何が盗まれたんだい?


GM:家宝の首飾りだそうです。


バジル:それはまだ出てきてない?


GM:出てきてないですね。


バジル:それなら調べてみるしかないんじゃないかな? そうすれば弟さんがやったのか、何かの事件に巻き込まれたのか分かるかもしれない。


GM:「今日、これからグレース副官にお休みを頂いて弟と話してみるつもりです。父に似て頑固者ですが、時間をかけて話せばきっと……」


バジル:俺も行くよ!


GM:「えっ?」


バジル:アコさんのピンチなんだ。放っておけないよ!


GM:「そう言うわけにはいかないでしょう。今日バジルさんは午前番の警らがあるはずですよね?」


バジル:うっ! だけど、何とかするから!


レオン:ここで登場しましょう。すみませんが話は聞かせて頂きました。それなら、アコさんが正式にこの事件を銃士隊に依頼すれば良いのでは? ログレス市民が銃士隊にささやかな対価と引き換えに「ちょっとしたお願い」をするのは珍しくないですよね?


GM:「確かにそうですが、そこまでして頂く訳には……」


バジル:いや、頼む。このままじゃ気になって仕事も手に付かないんだ!


レオン:アコさん。差し出がましいようですが、隊長の気持ちも汲んであげて下さい。


GM:「でも、なぜそこまで?」


レオン:あー、これ全然伝わってないやつですね(苦笑)。


バジル:しょんぼり(笑)。


レイ:私も登場で。アコさん。親子の絆が壊れかけている時に、なりふり構っていてはいけません。私も力になります。やらなければならない理由がありますし。


GM:「その理由と言うのは?」


レイ:前回の報酬で買った「俊足のブーツ」の威力を試したいからです!


バジル:(ガクッと崩れて)それが理由かよ(笑)!


 3人のやり取りを見ていたアコさんから、クスリと笑みが漏れた。

 自分が世話を焼いて貰っているのに、何だか弟がもうひとり増えたような感覚になる。

 それが、バジルと言う銃士、そして彼を囲む人々の持ち味だった。


GM:「私の負けです。グレース副官は今執務室で事務処理中ですので、今から話に行きましょう」


バジル:おう! 任せとけ! 自信の根拠は無いけどな(笑)。


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