男爵から準子爵になる

第17話物語の始まり

俺はエリカが出て行ったのを確認し、ため息を吐く。


「エリカが、第3王子に惚れるとはな……シノブいるな?」


シノブが、音もなく後ろに立つ。


「はい、ここにいますよー」


「最近、さらに隠密に磨きがかかったな。若干怖いわ、俺」


「えー、全部団長のためなのに酷くないですかー?」


「はいはい、ありがとな。で、シノブ仕事を頼む」


「エリカちゃんのことですねー」


「そうだ。王子だかなんだか知らんが、遊び半分でエリカに手出そうって言うならただじゃおかねえ」


「一応、団長が仕える国の王子様なんですけど。相変わらず、妹が関わると人格変わりますねー」


「うるせー!可愛いんだ!仕方ないだろう!で、まずはカロン王子の身辺調査だ。確かに表面的には問題なさそうだが、そういう奴は裏でなにかやってるに違いない」


「あらら、断定しましたね。とゆーか、自国の王子を調査って……バレたら普通に国家反逆罪とかになるんじゃないですか?」


「ああ、多分なるな」


「ちょ!それってわたしが捕まるってことじゃないですか!」


「いや、おまえの腕前ならそう見つかることはない。それこそ、叔父上クラスの人間くらいだろう。それに、そこまで踏み込む必要はない。普段の行動だけで良い。それだけで、だいたいわかる。そして何より、俺はシノブの腕を信頼しているからな」


「もーずるいですよ!そんなこと言われたら、やるしかないじゃないですかー。わかりました、やりますよー」


俺はチョロいなと、思いつつ。


「おお!やってくれるか!それでこそ俺の傍付きだ!では、頼んだぞ」


「なんか丸め込まれた気がする……ホント、妹が絡むと見境がないんだから」


「そりゃそうだ。妹は何にも勝る」


「はいはい、そうですねー」


「そうなると、俺も静観しているわけにはいかないか……」


「ん?どういう意味ですか?」


「いや、昇進や昇格にそこまで興味はなかったのだが……男爵では、色々不都合が起きそうだ」


「まあ、王子が男爵令嬢と親しくなったら、それはそうですねー」


「ああ。只でさえ、上級貴族の学校で肩身が狭いというのにな……よし!覚悟を決めた!」


「おお!決めましたか!?」


「ああ、今決めた。俺は妹の為に成り上がる!」


「おおー、優柔不断な団長にしては決断早いですね!」


「俺が優柔不断なのは、女性問題だけだ」


「それはそれで、どうなんでしょー?」


「……まあ、いい。そうと決まれば、行動あるのみだな」


理由はわからないが、最近は剣の腕と、魔力量もどんどん上がってきているからな……!


俺は、妹が第3王子に惚れたというので、成り上がることにする!

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