[ クリスマスの夜 ]





 きみはいつも、ぼくといっしょ


 ぼくはいつも、きみといっしょ


 あの人たちが来るまでは




 きみといたら、雪も寒さも気にならなかった


 花のことや、天気のこと、森のこと、遠くの遠くの街のこと


 きみと、たくさんおしゃべりしたよね






 きみはただ、微笑むだけ






 あの人は、遠くの街からやってきた


 きみを見るなり言ったんだ


 「こんな素晴らしいコは見たことがない」




 ぼくは嬉しかったよ


 きみのことをわかってくれる人がいたんだ


 きみのことを素晴らしいと言ったんだ






 きみはただ、微笑むだけ






 あの人は、遠くの街からやってきたんだ


 大勢の人を連れて


 「どうだい、こんなに素晴らしいコは見たことがないだろう?」




 ぼくは嬉しかったよ


 みんな、きみを見て感心してた


 きみのことを素晴らしいとほめたんだ






 きみはただ、微笑むだけ






 あの人は、遠くの街へ帰っていった


 大勢の人ときみを連れて


 「今年は、わしらが一番だな」




 ぼくは悲しかったよ


 ぼくはなんにもできなかった


 誰も、ぼくのことなんか気にもとめない






 きみは、どこに行ったの?






 あの人は、もう来ない


 大勢の人ももう来ない


 ここに、きみがいないから




 ぼくは悲しいよ


 ぼくの心に大きな穴


 きみのいた場所に大きな穴






 きみは、いつ帰ってくるの?






 こんなに、空が寒いなんて思わなかった


 こんなに、雪が冷たいなんて思わなかった


 きみがいないって、ただそれだけなのに




 今日も雪が降り積もる


 心の穴に雪が積もる


 きみのことなんか、忘れてしまえというみたいに






 きみはたぶん、微笑むだけだろうけど







 ぼくは待っているよ


 きみが残した穴の上で


 きみのいる場所を忘れないように




 ぼくはここで待っているよ


 きみがいつ帰ってきても


 きみが寂しくないように





 きみの微笑みがなくならないように



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