第23話 とある休日の一幕

「あーちゃん、今日は何して遊ぶ?」

「今日は、玲央とチョコぱんまんのブライムビデオみる。」

「えー。昨日もみてたじゃん。今日はオレと遊ぼうよ。」

「だってしょうちゃんと遊ぶと泥だらけになるからやだもん。」


今日はとある日の休日、いつもの様に彩花と翔太が話している。

翔太は彩花と遊びたい。彩花は玲央と遊びたい。玲央は彩花大好き。彩花と玲央はインドア派で翔太はアウトドア派だな。翔太、報われない奴め。

仕様がない。助けてやるか。


「おーい。彩花、翔太。今日アイオンにいかない?ミケエモンの映画やってるから。」

アイオンはAion株式会社が運営する大型ショッピングモールで中に映画館がある。ミケエモンは未来から来た2足歩行型の猫型ロボット達5体が未来の道具を利用して、宇宙人から地球を守る為に戦うお話だ。そして最後に巨大化した敵を、5体の合体ロボに搭乗し、殲滅する。

「アオン行くの。彩花新しい靴欲しい。」

映画よりもショッピング。小さくても女の子だね。

「翔太は?」

「あーちゃんが行くなら、行く。」

「よし、じゃあ三人でいくか。」

「わーい。パパ、着替えてくるから待ってて。」

わざわざ着替えんでも。


「賢太、翔太連れて映画行ってくれるだって。」

「遥姉、暇だったからな。勝手に決めたけどよかった?」

「全然。寧ろありがと。」

「どっか出かけるのか?」

「そっ。これからふみのんとランチ行くの。」

「へー。いってら。でもそれなら玲央はどうするんだ。」

「あの子はプライム見るんだって。最近の子よね。母さんに見てもらうわ。」

「それな。」

「さっきから何それ。ウケるー。」

この話し方キツい。若いフリは無理だな。

それにちょっと古い?ちょべりばとか。

「パパ。早くいこー。」

「おう。じゃあ遥姉、先行くわ。」

「気をつけてねー。」



「混でるなー。」

休日のアイオンは凄い人だ。

「彩花、翔太、はぐれたらいけないから、お互いの手を離すなよ。あと、キッズ携帯は持ってるか。もしはぐれたら、電話するからその場を動くなよ。特に翔太。」

「けんた。だいじょうぶ。ここは俺の庭の様なもんだ。」

何処のハードボイルドだ。お前あんまり来たことないだろうが。

「はぁー。彩花頼んだぞ。」

「ラジャー。」

ビシッと敬礼。

「取り敢えず、映画の時間まで結構あるから、先に昼ごはんを食べよう。ジェリーパスタでいいか。」

「えー。オレはラーメンの方がいい。」

「駄目だ。ラーメンは脂質が多い。ジェリパなら、コースがあるからバランス良く食べられる。」

「彩花もラーメンがいい。」

「よし、ラーメンにしよう。」

「・・・」「・・・」

二人がジト目で見ている。お願い無言はやめて。

「いや、ジェリパ、混んでるからな。映画遅れたらいけないし。な。なっ。」


「だーれだ。」

不意に俺の目が塞がれた。いや、まず声で分かるし。

「声で分かるし。柳だろ。」

「せいかーい。流石先輩。正解した先輩にはご褒美です。はい、どうぞ。」

柳は両手を広げている。

「ん。何のつもりだ?」

「先輩。どんだけですか。ハグですよ。さぁ遠慮なくどうぞ。」

「いや。いらん。」

「あーん。先輩のいけず。」

「じゃあな。彩花いくぞ。」

「ちょっと。ちょっと、ちょっと。先輩それは無いんじゃあーりませんか。」

お前、ほんとに20代かそれに相当昔の奴だぞ。しかも2つも被せてくんなよ。

「あーちゃんと彼氏の翔太君もこんにちわ。」

「さーちゃん。こんにちわ。」

彩花は慣れているので問題ないが、翔太は、彩花の後ろに隠れてしまった。

「翔太。挨拶はきちんとしないとな。」

「こ、こんにちわ。」

「先輩は映画っすか。それで映画まで時間があるから、ラーメンでも食べて時間を潰すって所ですか。」

「お前、エスパーか。」

「いや。伊藤じゃないっす。魔美っす。」

それもー相当古ーい。

「いや。ただ後ろで聞いてただけです。」

あっ、そうなの。いつから後ろに?忍者?

「ナルトじゃないっすよ。ハットリ君の方っす。」

もう心を読まないで。

「で、お前は?」

「私はここに来れば先輩がいると、朝の占いで言ってたので。」

「そんなピンポイントな占いー、ってお前まさか、また盗聴機仕掛けたな。」

「な、何のことっすか?」

「前にも言ったよな。次やったら許さんと。ということで、今月から減給な。」

「鬼、悪魔、強姦魔、変態、ロリコン、えっとあとは…。」

「あ゛ぁん。お前マジでシメるぞ。」

「先輩。先輩。大変っす。」

「あん。何だこら。そんなことでごまかされんぞ。」

「いや。あれ見てください。彩花ちゃん、囲まれてますよ。」

「ん。あっ。やばい。」

俺は駆け出した。


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