旧ソ連の化学兵器ノビチョクにまつわる本当の話
Mystérieux Boy
ノビチョクとは?
これまでに明らかになっている情報をまとめた論文です。
Chemical warfare agent NOVICHOK - mini-review of available data (Nepovimova, 2018)
https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0278691518306598
ノビチョクは有機リン系の神経剤の一種です。神経剤には他にも毒性が強い順に、VX、ソマン、サリンなどがあります。ノビチョクはVXよりも殺傷能力が強いとされます。暴露してから症状が出るまでの時間が、どの神経剤よりも長いことも特徴です。
70年代、ソビエトでコードネーム”FOLIANT”というトップシークレットプロジェクトがスタートしました。目的は、V剤(VXなど)よりも強力かつ、NATOの化学剤検知装置で検出できない化学兵器を作ることでした。このプロジェクトで出来上がったのがノビチョクです。
ノビチョクにはいくつかの型があり、型によって性質も異なります。A-232、A-234はバイナリ兵器といって、前駆体と呼ばれる二種類の物質を混合することで使用できます。
経皮で摂取した場合の半致死量(摂取すると半数が死ぬ量)は、
サリン…1700mg
ソマン…350mg
VX…10mg
A-232… 1-2mg
A-234…5mg
となっています。ノビチョクがいかに危険か分かりますね。
作中にもありましたが、ノビチョクは危険過ぎて迂闊に持ち運べない、使用者も死ぬかも知れない、というデメリットがあります。そこで、より危険性の少ない前駆体を持ち運び、使用する直前に混合すれば安心です!
上記の論文には書いてありませんが、ミルザヤノフ氏によれば更に上のバージョンもあります。たとえばA-242は個体でパウダー状にでき、より安全に持ち運ぶことができるそうです。
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