11 カップル成立
俺だ。
お疲れ様会の最中、騒ぎ疲れたので外で息抜きしてたら、香月が「ちょっとお話いいかな」なんてやってきて声をかけた。
その言葉の内容は驚くべきものだった。
一瞬、聞き間違えかと思ったくらいだ。
今、とてつもなく焦ってる。
お疲れ様パーティー後だ。
俺だ。俺なんだよ。
えっ?
俺なの?
何言ってるか分からないが、そうだった。
顔をあからめた香月に「○○さん(俺だ)が好きなんです!」と言われた。
頬をつねった。
夢ではないようだ。
動揺した。
こういう時、どうすればいいのか分からなかった。
何しろ人生初だ。
告られたのは。
しかも相手は、ゲームの主人公になるほどの美女だ。
おかしくもなる。
とりあえず、そのまま硬直して主人公を困らせた後、「俺もだ」と頷いた。
俺も香月の事は嫌いじゃない。むしろ可愛いし面倒見も良いし、好きだと思っている。ちょっとお人よし過ぎるところがあるが、そこもまあ美点だと思う。
すると香月が満面の笑みを浮かべて駆け寄ってきた
その様子を見て、脈絡もなく(ああ、あの時屋上にいた香月は、寒かったんじゃなくて俺に見つけてもらって嬉しかったのか、だから俺に駆けよってきたのか)と納得した。
なんか幸せな気分になった。
そのまま二人で、色んな話をした。
なんで好きになったのとか、いつから好きになったのかとか。
ちくしょい恥ずい!
香月はその全てに真面目に答えていった。
「斑鳩さんが、いつも私のわがままにつきあってくれるからです」とか「たぶん、はっきりと自覚したのはつい最近、屋上での出来事で」とか
わっしょい恥ずい!
「一番最初の頃からちょっと良い人だなって思ってたんですよ。出会ったばかりの朝霧さんでさえ、迷子の犬を探そうって言った時はちょっと嫌そうな顔してましたから。でも、斑鳩さんはそうじゃなかった」
まあ、攻略対象の好感度が最初から高かったら攻略する意味ないしな。ゲームにできんし。
「面倒そうな風でしたけど、仕方ないなって顔してましたから」
そりゃまあ、美少女に頼られたのを正面から嫌とは言えないだろ。香月は、可愛いんだから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます