03 弱ってても恰好良い



 ウォルド様に肩を貸しながら、最寄りの町へ。

 うおっほい。

 イケメンの顔が近くに!


 なんて、鼻息を荒くしてる場合じゃない。

 まじめに。まじめに。静粛に。

 荒ぶる私の魂よ沈まれーい!


 町について一安心。

 と、思いきや。


 しかし、ここは名医のいる町ではなかった。


 名医は見つかった。だがそれは遠い町だった。

 しかし、そこまで行く体力がなかったのだ。


「うぉぉぉう。神よ、仏様よ、とにかく何か様、何でもいいからウォルド様の命を、どうかぁぁぁ」

「いちいち大げさに騒ぐんじゃねぇって。かくまってもらってんだからよ」


 大罪人様ご一行、隠密行動中である。

 私達は二人仲良く、牢屋仲間。

 というわけで、気兼ねなくお天道様の下を歩くことができない。

 だから、全国各地にいるファン達に協力してもらって、一般人の家にかくまってもらいながら旅を続けているのだ。


 本来のゲームのストーリーだったら、野宿とか宿暮らしが基本なんだけどねっ。

 それやっててもたまに身分がばれるから、初めから友好的な人に協力してもらっている方が、トラブルがないのだ。


 さすが私。


 とはいっても、ファン達ができるのはそれくらいなもので。


「すいませんウォルド様、これくらいのものしかお出しできないで」


 ちょっと冷たい水をごちそうしてくれたり、ちょっと体にいい食べ物しかもらえないのであった。

 それだけでも嬉しいけどねっ。


「気にすんな。自分の面倒を自分で見られなくなっただけだろ」


 はうっ、ウォルド様恰好いい。


 汗でぬれた髪が肌にはりついている姿も、ちょっとやつれてる姿も絵になる! 色っぽい!


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