ピアノ・ソナタ 第17番 「テンペスト」 ベートーヴェン

<タイトル>


ピアノ・ソナタ 第17番 ニ短調 作品31-2 「テンペスト」


<作曲者>


ルートヴィヒ・ヴァン・ベートーヴェン


<おすすめ音源>


スヴャトスラフ・リヒテル(ピアノ)


https://open.spotify.com/intl-ja/album/7I8hUAOfo6PhkMBsOsGqQp?si=h7Dk_8cCSSS2Peq1mxCt3Q


ダニエル・バレンボイム(ピアノ)


https://www.youtube.com/watch?v=Fkrr3nUZ0YU&t=769s


<解説>


 作曲された時期としてはちょうど、ベートーヴェンが難聴にさいなまれはじめたときであり、有名な「ハイリゲンシュタットの遺書」が書かれたのもこのころです。


 友人に当てた手紙には、「自分はこれまでの作品に満足していない。新たな道を進むつもりだ」との趣旨がつづられています。


 サブタイトルの由来については、ベートーヴェンの弟子であるアントン・シントラーが、この曲のイメージするところを師にたずねたところ、「シェイクスピアの『テンペスト』を読め」と語ったからだとか。


 シントラーは「捏造魔ねつぞうま」として知られており、師ベートーヴェンを英雄化するため、けっこうな数の偽エピソードを作っています。


 この事実は本人による述懐によって明らかになっているのですが、この「テンペスト」の由来もあやしいものです。


 しかしながら、「テンペスト」は「嵐」の意味であり、このソナタの曲調はいかにも「嵐」っぽいですから、ある意味ではふさわしいのかもしれません。


 こういうことにうるさいファンも多いようですが。


 全3楽章のすべてがソナタ形式で書かれているのが興味深いですし、単純にかっこいい音楽です。


 天気が悪いときにかけると、なかなかマッチします。


 おすすめしたピアニストは、旧ソ連オデッサ出身で、天才の名をほしいままにしたリヒテルです。


 数種類の録音がありますが、「大木をなぎ倒すよう」と揶揄やゆされた彼の芸風のとおり、どれもパワフルで聴きごたえがあります。


 映像のほうはバレンボイムのライブ録音で、ユーロアーツの公式チャンネルです。


 彼らしい端正な音作りに好感が持てる名演になります。


 嵐の晩などにかけてみてはいかがでしょうか。

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