戦いに向けてのログ
【サードニュースペーパー
人類反撃作戦が迫っているものの、陥落した星、失った命は数知れず、いつ終戦するのかも定かではない。政府は絶対防衛戦と生存圏確立を目標にしている筈だが、敵の規模が定かではない以上は長期戦を覚悟する必要がある。
ただ、ここに至るまでに尽力した者達には頭が下がる。どうも伝え聞く所によると、あらゆる部署が7徹当たり前の地獄絵図だったらしい。通常ならば労働に関する法律違反だと言わなければならないが、情勢を考えると必要なことなのだろう。
そして最大の功労者と言われている特務大尉だが、どうしているのかさっぱり分からない。広報部にコンタクトを取ったが特務大尉は忙しいの一点張りで、取り付く島もなかった。
戦時英雄にありがちなことだが、ひょっとして軍は特務大尉を持て余しているのではないだろうか?
我々は彼の戦果は知っているが、『軍人の中の軍人で決して諦めず、どんな状態でも我々に勝利をもたらしてくれる品行方正な人物です』というのは伝聞に過ぎない。というか、軍と政府はこれしか言及しておらず、特務大尉を正確に把握できているのかと疑問が湧き上がる。
本当の特務大尉は、命令違反だろうが結果で黙らせたらいいと思っている可能性があるため注意が必要だろう。
お知らせ
問い合わせが妙に多いので重ねて申しますが、軍を手伝っているうちの記者は本業が新聞記者です】
◆
『今日のニュースをお伝えします。軍の発表によりますと、英雄特務大尉も人類反撃作戦に参加するようです』
『いやあよかったですね。センター防衛戦において、敵旗艦奪取の際に負傷されてしまい、その後の式典は無理をしての参加だったという噂がありましたから』
『本当によかったです。私も特務大尉が負傷しているため、センターで広報に携わるという話を聞きましたが、これで単なる噂ということがはっきりしました』
『公正明大で軍人の中の軍人。英雄の中の英雄。そして大統領や元帥からの信頼が厚い特務大尉ですから、前線に赴く兵士の皆さんも頼もしいことでしょう』
『私は毎日特務大尉のことをお知らせしているので、勝手に親近感を抱いてます』
『私もです。一度お会いしたいですねえ』
『ええ、本当にそう思います』
『では本日も特務大尉をよく知る上官の方に来ていただいております』
◆
≪特務大尉って凄いよねー!≫
≪ねー! クラスでも名前が出ない日はない感じ!≫
≪きっと優しい王子様みたいな人なんだよ!≫
◆
名無しの情報員さん
特務大尉はマジで客寄せパンダ?
名無しの情報員さん
どうもおかしいんだよな。敵軍の中に単身突入しただの、試作機動兵器に初めて乗って敵艦隊に打撃を与えただの、妄想がそのまま正式な情報として上に伝わってる。
名無しの情報員さん
そんなアホな。
名無しの情報員さん
新兵器開発部もガチ対応してる。バードって名前の機体を作って、その機体に乗った時のデータもあるんだけど、異常な数値しか計測されてない。
名無しの情報員さん
ひき肉が歩いてるレベル?
名無しの情報員さん
マジでそのはずなんだけど、データ的にはしっかり特務大尉が乗ってる感じだな。
名無しの情報員さん
ええ……
名無しの情報員さん
やけくそで作ってるじゃんw
名無しの情報員さん
やっぱどうもおかしい。
名無しの情報員さん
お喋りはいいですが仕事は順調なんですかねえ?
名無しの情報員さん
もう終わってるよ
名無しの情報員さん
流石ですな
◆
名無しの兵站部さん
補給計画!
名無しの兵站部さん
万全!
名無しの兵站部さん
不測の事態が複数起こっても問題なし!
名無しの兵站部さん
私らがいる限り兵站切れなんてあり得ないと思ってもらいましょう!
名無しの兵站部さん
現物があるならね!
名無しの兵站部さん
おほほほほほほほほほほ!
◆
名無しの新兵器開発部さん
バードがいよいよ実戦投入かあ……。
名無しの新兵器開発部さん
どうすんだよ。あの化け物機体を更に強化してくれって言われても……。
名無しの新兵器開発部さん
ニュースとか世間が特務のことについて話してると、思わず笑っちゃいそうになるんですよね。
名無しの新兵器開発部さん
絶対人間じゃないわ。そうじゃないとバードを操縦できることの説明ができない。
名無しの新兵器開発部さん
マジモンの英雄。って言うかバグは存在するんやなって。
名無しの新兵器開発部さん
なんかずっと無茶振りされる気がしてきた。
名無しの新兵器開発部さん
んだ……。
◆
名無しの技術部さん
改めて特務大尉から、タコの兵器を沢山送る予定だけどいけそう? と尋ねられる。
名無しの技術部さん
なんでも送ってこいやー!
名無しの技術部さん
リヴァイアサンを解析した俺らに不可能はねえぞー!
名無しの技術部さん
完全にハイになってますね。
名無しの技術部さん
それで勝てるなら何でも解析してやらー!
名無しの技術部さん
なんて頼もしいんだ……。
名無しの技術部さん
ついでに妙に心配してたから、リヴァイアサンの塗装も手配してるぞ!
名無しの技術部さん
HAHAHAHAHAHA!
名無しの技術部さん
まあ、リヴァイアサンの塗装が全部剥がれるとかあり得ないんですけどね!
◆
名無しの諜報員さん
なんか特務大尉へのハニトラを担当してた奴が、憲兵に突き出されたっぽいんですが……
名無しの諜報員さん
はあ!?
名無しの諜報員さん
嘘でしょ!?
名無しの諜報員さん
どこの部署の横やりよ!
名無しの諜報員さん
これで警戒されちゃったじゃん!
名無しの諜報員さん
なんとしても特務大尉を落とさないといけないのに!
名無しの諜報員さん
詳しい情報を集めないと。
◆
名無しの保安部さん
特務大尉へのハニトラ捕まえたのうちの部署?
名無しの保安部さん
いや、なんか特務大尉が突き出したとかなんとか。
名無しの保安部さん
ちゃんとした情報を集めないといけないな。
名無しの保安部さん
やっぱ特務大尉へのハニトラ対策しないといけなくなったかあ。
名無しの保安部さん
めんどくせえ。
名無しの保安部さん
うちのトップは?
名無しの保安部さん
また特務大尉の危険性を訴えてる。
名無しの保安部さん
はい? また?
名無しの保安部さん
ポーズなんだよな?
◆
名無しの兵士さん
ついに特務大尉と戦えるぞー!
名無しの兵士さん
いえーーーーい!
名無しの兵士さん
同じ艦隊に配属されてうれしー!
名無しの兵士さん
英雄を直接見られるんだ!(^O^)
名無しの兵士さん
元軍人だったから再教育受けたけど、訓練場の人がマジでヤバかった。あれ以上の人間が存在するとは思えないんだけど。
◆
『元帥閣下』
『うむ。これより人類領域奪還作戦を開始する! 全艦発進!』
◆
『これがガル星人領域侵攻作戦になることを期待していますよエージェント』
『ああ』
『尤も私の計算では』
『不可能などない』
『全く。では青薔薇の花言葉を証明してもらいましょう』
『当然だ』
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