なーんにも分かってなかった頃の諜報員達がきゅっとされる前の話
名無しの諜報員さん
田舎から出てきた英雄特務大尉を篭絡しろって命じられました。皆さん、協力して頑張っていきましょう。
名無しの諜報員さん
はーい。
名無しの諜報員さん
りょうかーい。
名無しの諜報員さん
田舎から出てきたって言うけど、出身惑星は特定されてたっけ?
名無しの諜報員さん
最初に確認されたのがメル星ってだけで、確定まではしてない筈。
名無しの諜報員さん
メルって何かの産地じゃなかったっけ?
名無しの諜報員さん
小麦……だったような。
名無しの諜報員さん
そうだっけ?
名無しの諜報員さん
殆ど覚えがないから記憶があやふや。
名無しの諜報員さん
ど辺境だから仕方ないわよ。
名無しの諜報員さん
確か……間違いなかったはず。それとパンを作るのが結構盛んだったような。メルの住人に話を聞いたら、確実に親戚か身内、知人の中に小麦かパンに関わってる人間がいるって聞いた覚えがある。
名無しの諜報員さん
ほえー。普段全く話を聞かない惑星だから知らなかった。
名無しの諜報員さん
有名人もいない。観光名所もなし。目立った資源もない。まさに辺境の惑星。
名無しの諜報員さん
今回の特務大尉が最初の有名人になったわね。
名無しの諜報員さん
そんな惑星だから、敵も末端で撃退できたんでしょ?
名無しの諜報員さん
でも旗艦を鹵獲したのは間違いないわ。運がよかったって言えばそれまでだけど。
名無しの諜報員さん
英雄様の評価も定まってないみたい。
名無しの諜報員さん
どうせなら敵を完膚なきまでに倒してくれる完全無欠の英雄だったらいいんだけど。
名無しの諜報員さん
ねー。
名無しの諜報員さん
そもそも本名が分からない英雄様。
名無しの諜報員さん
結婚してるの?
名無しの諜報員さん
メルでの女の流行りなんて知らないわよ。
名無しの諜報員さん
年齢は? 趣味は?
名無しの諜報員さん
わからないことばーっかりなんですが……。
名無しの諜報員さん
ま、我が部署のエースたちに任せればどんな男も簡単でしょ。
名無しの諜報員さん
間違いない。
名無しの諜報員さん
いいこと言った。
名無しの諜報員さん
それはそうだけどちゃんと計画しないといけないから、なにも分かってないのはきつい。
名無しの諜報員さん
これがプロ意識ってやつね。
名無しの諜報員さん
しかも、なんか他の部署も動いてるっぽいから急がないといけないのよね。
名無しの諜報員さん
英雄が誕生したかあ。せや! うちの派閥に取り込んでしまおう!
名無しの諜報員さん
いつもの人類。
名無しの諜報員さん
宇宙人にぶん殴られても相変わらずである。
名無しの諜報員さん
真面目な話すると、マジであちこち大忙しだから、詳細な情報を集めている間に出し抜かれる可能性があるわね。
名無しの諜報員さん
なら手っ取り早く酒に誘う?
名無しの諜報員さん
基本中の基本よね。酔っ払った男と写真を一枚。
名無しの諜報員さん
まずは第一候補ね。趣味が分かったら部屋に誘い出せるかもしれないんだけど……。
名無しの諜報員さん
最悪の場合は暇してる男連中に仕事してもらって、無理矢理眠らせるって手もあるにはある。本当に最終手段だけど。
名無しの諜報員さん
英雄とか言われてるけど、非武装な状態なら三人くらいで制圧できるでしょ。ほら、無駄にアピールしてる筋肉の出番よ。
名無しの諜報員さん
簡単なもんすよ。すぐ気持ちよく寝かしつけますから安心してください。
名無しの諜報員さん
格闘術の達人である自分ならあっという間ですとも!
名無しの諜報員さん
余裕ですよ余裕!
名無しの諜報員さん
ガハハハハ!
名無しの諜報員さん
なんて頼もしいんでしょう。
名無しの諜報員さん
でも実力行使とか必要ないでしょ?
名無しの諜報員さん
おほほほほほ! まあね!
名無しの諜報員さん
これが慢心……!
名無しの諜報員さん
客観的事実ってやつよ!
名無しの諜報員さん
逆に実力行使されて、憲兵に突き出されないようにね。
名無しの諜報員さん
私を憲兵に突き出す男がいたら見てみたいわ。
名無しの諜報員さん
誰が書き込んでるか知らないけど、うちのエース連中は全員実力があるから反論できない……。
名無しの諜報員さん
ところで根本的な質問なんだけど、特務大尉はどこにいるの?
名無しの諜報員さん
さあ。
名無しの諜報員さん
さあって……。
名無しの諜報員さん
いや、本当にどこにいるか分からなくて、今あちこち調べてもらってるのよ。
名無しの諜報員さん
ああね。多分、元帥とか大統領が、私達みないなのが近づかないように隔離してるんじゃない?
名無しの諜報員さん
英雄も鳥籠の中の鳥という訳ね。
名無しの諜報員さん
可哀想に。
名無しの諜報員さん
とはいえ色々とやりようはあるんだけどね。
名無しの諜報員さん
それはそう。
名無しの諜報員さん
センターとか主要惑星の人間関係は複雑怪奇だから、抜け道なんていくらでもある。
名無しの諜報員さん
じゃあセンターにいないかも。
名無しの諜報員さん
例えば?
名無しの諜報員さん
最前線w
名無しの諜報員さん
そんなアホなw
名無しの諜報員さん
一生後方でいられる英雄様が、なんでまた前線に行くのよw
名無しの諜報員さん
分からないわよ。英雄っていうのはそういう理解を超えたところにいるものだから。なんて言ってみたり。
名無しの諜報員さん
これは哲学ですわ。
名無しの諜報員さん
そんで英雄を使って影響力を拡大する、と。
名無しの諜報員さん
滅茶苦茶忙しいからそれ以上のことは出来ないでしょうね。
名無しの諜報員さん
どこもかしこもデスマーチ中だし。
名無しの諜報員さん
うちも何人か三徹してるし、実戦部隊に急に引っこ抜かれて帰ってきてない人間もいるわね。
名無しの諜報員さん
センター陥落だけはマジで洒落にならないもの。メインの工廠が壊滅したら反撃もできないっていうね。
名無しの諜報員さん
聞いた話だけど後方の生産拠点を拡張するみたい。
名無しの諜報員さん
でしょうねー。
名無しの諜報員さん
ぶっちゃけ勝てそうなの?
名無しの諜報員さん
まあ……怪しい……。
名無しの諜報員さん
うちに集まってる情報を纏めたら、現実逃避気味に頑張ってる人間の方が多いって結論になる。
名無しの諜報員さん
あの敵艦隊が単なる先遣隊だったって可能性が常に付き纏うのよね。
名無しの諜報員さん
やっぱり知らないって怖いわよね。
名無しの諜報員さん
本当本当。敵の規模も目的も分からないなんて。
名無しの諜報員さん
何も知らない英雄を篭絡しようとしてる私らに、ブーメランぶっ刺さってるの分かってる?
名無しの諜報員さん
確かにw
名無しの諜報員さん
そうは言っても人間の男っていう一番大事な部分が分かってるじゃん。
名無しの諜報員さん
それも確かにw
名無しの諜報員さん
まあ、万が一でも私が失敗したら、それは好みの問題だからうちの部署の誰かがその内いけるでしょ。
名無しの諜報員さん
せやな!
名無しの諜報員さん
せやせや!
名無しの諜報員さん
それでは英雄特務大尉篭絡作戦、いってみましょうか!
名無しの諜報員さん
おーーーーー!
名無しの諜報員さん
ふううううう!
名無しの諜報員さん
やってやるわよおおおおおお!
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