番外音声ログ 特務大尉また無断出撃
別作品で久しぶりに掲示板ものを書いたので、それならこっちは久しぶりに音声ログだ!
◆
『特務大尉。貴官の専用機バードは、オーバーホールが必要だと格納庫から連絡があった。残念だろうが作戦が陸戦のフェーズに入るまで待機だ』
『了解しました』
『うむ。幸い制宙権はそれほど苦労せずに済みそうだ。特に問題ないだろう。では待機していてくれたまえ』
『了解いたしました。特務大尉、作戦が陸戦に入るまで待機しています』
◆
『中尉、作戦に一部変更があります。ガル星人艦隊への攻撃終了後、機動兵器部隊は母艦に帰還。そののちに大気圏突入装備を装着して惑星に降下。揚陸する陸戦部隊への援護をお願いします』
『了解した』
『中尉なんだか声が?』
『通信の調子が悪いようだ』
『はあ、作戦開始までもう時間がありませんが修理出来そうですか?』
『いや無理のようだ』
『分かりました。出来る限りこちらでサポートします』
『助かる』
『全機動部隊への通達が完了しました。作戦開始タイマーが起動します。』
『了解した。いつでも出られる』
『はい。本艦では中尉が一番最初に出撃します。御武運を』
『ありがとう』
『発艦シークエンスを開始します。5,4,3,2,1』
『特務大尉出撃する』
『は!?』
『おい今の通信どういうこった!?』
『特務は地上組だろ!?』
『大変です! 中尉がロッカーに閉じ込められてました!』
『じゃああれに乗ってるのは特務なのか!?』
『あの野郎また無断出撃しやがった!』
『エンゲージ』
『エンゲージじゃねえよ! まだ部隊全部出撃してねえのになに突っ込んでんだ!』
『交戦中に付き通信不可能。終わり』
『終わりじゃねえよ!』
◆
『特務遅れました!』
『突っ込んだのは俺だ。そちらの部隊は撃ち漏らしを頼む』
『イエッサー!』
『特に目新しいのはいないな……』
『特務?』
『すまん独り言だ。リヴァイアサンの2番艦をタコが持ちだしたら俺に知らせてくれ』
『ははは。そんなのが出てこない様に祈ってますよ!』
『今綻んだな。第三中隊ついてこい。第七中隊は左から回り込むんだ』
『サーイエッサー!』
『正面をそのまま突破する。斉射して穴を開けろ』
『はっ!』
『見えた。敵旗艦』
『大物食いを狙うんですね! ちなみに特務は落とした戦艦の数はどれくらいです?』
『…………覚えていない』
◆
『艦長! 特務が出撃したと思われる機体から着艦要請です! 大気圏突入装備への換装を求めています!』
『なに? 態々出撃した艦ではなくここに?』
『司令官がうるさいからここに来るとの事です!』
『そりゃうるさいに決まってるだろ……可哀相に。許可する』
『はっ! 特務許可が出ました!』
『感謝する』
◆
『特務おつかれさまです!』
『ああ。すまんが戦闘糧食を持って来てくれ』
『はっ!』
『艦長、揚陸部隊の準備に齟齬は?』
『いつでも降下できるようです』
『分かった。換装が終わり次第俺が先行する』
『了解しました』
『特務! タオルは必要ですか!』
『いや汗は掻いていない。大丈夫だ』
『はっ!』
『申し訳ありません特務! 戦闘糧食はこれしかありませんでした!』
『……それか……仕方ない。あのポンコツは機械だからこんな物を作れるんだ。味覚センサーをつける様に教授に言っておかねば』
『特務! 換装終わりました!』
『分かった。すぐに降下する』
◆
『対空砲の一部を無力化した。機動部隊は指定した地点に降下してくれ』
『イエッサー!』
『行くぞ野郎ども降下だ!』
『ゴーゴーゴー!』
『第三中隊降下完了!』
『第九中隊降下完了!』
『補給システムはどこにある? 流石に弾が無くてな。さっきはブレード一本だった』
『こちらです特務!』
『ああ、ありがとう。ん? エラー?』
『特務、こちらからの確認ではあちこち機体のフレームが……』
『いかんぞこれは。借り物だったのに』
『これだけのご活躍なのです。中尉も草葉の陰で喜んでいるでしょう』
『そうそう成仏しますって』
『致し方ない。いや、陸戦隊と合流するにはこのタイミングがいいか。すまんが中尉に会ったら弁償すると伝えておいてくれ。俺は陸戦隊と合流する』
『サーイエッサー!』
『……なあ、人型兵器って弁償するもんなのか?』
『車を壊したとおんなじ感覚なんだろ』
『ええ……どうやってだよ……』
『兵站部がどうにかするだろ』
『それもそうか』
『というかそもそも中尉の私物じゃねえ』
『リヴァイアサンは特務の私物だから、それの延長で考えたんだろ』
『なるほどねー』
『いいから仕事しろお前ら!』
『へいへい』
『特務が粗方やってくれたんだ。楽なもんさ』
◆
『すまんがこの陸戦隊に身を寄せさせてもらう』
『お会いできて光栄です特務!』
『降下はすべて完了したか?』
『はい特務! 現在敵を包囲しつつあります!』
『そうか。なら、ん? 少し待て』
『敵のグレネードだ! あ!?』
『向こうで爆発したぞ!?』
『投げられたのはどこ行った!?』
『このまま屋上を伝ってあそこの防衛線を上から攻撃する。敵を釘付けにしておいてくれ』
『サーイエッサー!』
『……俺特務のグレネード返し初めて見た』
『俺も』
『後でサイン書いてくれないかなあ……』
『え!? 今の特務がグレネード撃ち返したんですか!?』
『おっと、こんな所に特務に慣れていない新兵が一杯いるぞ』
『せやな』
『せやせや』
『掲示板のノリする前にとにかく撃てや!』
『へーい』
『せやな』
◆
『敵司令部の制圧を確認! 臨時に特務大尉が指揮する部隊です!』
『特務に通信を繋げ!』
『弁償の準備に忙しいから無理との事です!』
『なんの事だ!?』
『……この司令官も可哀相に』
『なあに、そのうち慣れるさ』
◆
『人型機動兵器の弁償は経費で落ちないかと特務から連絡がありました!』
『あのアホ意味が分かんない!』
『ここ兵站部!』
『軍って事も分かって無い可能性があるから……』
『何で民間の車の話みたいになってんのよ!』
『兵器だから壊れるのは当然だろ!』
『他人のを勝手に使って使い潰したみたいです!』
『泡吹いて倒れそう』
『ちょっとカウンセリング受けてくるわね』
『特務関連のカウンセリングは予約で2年待ちくらいですね』
『知るか馬鹿って返しとけ!』
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