天才と超高性能AIによる、戦争中期から現在に至るまでの特務大尉について
≪リヴァイアサン奪取後の、特務大尉についての説明は不要なのでは?もう散々テレビや資料をかき集めて知っているでしょう?≫
『まあまあ、そう言わずに』
≪処置無し。まあいいでしょう。この件をきっかけに、特務大尉の存在は全人類の知るところとなりました。"人類の中の人類"、"英雄の中の英雄"、
『うんうん。テレビで特務を見なかった日なんてなかったからね』
≪はい。まあ当時の軍と政府は、劣勢だった戦況を誤魔化すために、プロバガンダとして最大限利用するつもりだったようですが、貴方風に、特務大尉の事を分かっていない。と表現しましょう。全くコントロールの効かない存在と知らなかった軍、政府は、特務大尉の戦死がプロバガンダの失敗に繋がるため、何とかセンターに押し止めようとしましたが、特務大尉は全ての命令と要請を無視。再び最前線に戻ると、リヴァイアサン奪取の衝撃で、軍事行動を止めていたガル星人に対して、再び単独で斬首作戦と基地破壊を開始。人類が態勢を立て直すための時間稼ぎを、より完璧なものとしました≫
『うーん!流石だ!でも、プロバガンダなんかしなくても、その前から、結構特務の事を知ってる人は多かったよね?』
≪処置無し。はい。常に最前線で戦っていた特務大尉は、各地の撤退戦や民間人の救出に尽力しており、助けられた者や傷病してセンターに運び込まれた者を中心に、特務大尉の存在はある程度は認知されていました≫
『でも、そんな人たちが故郷に帰ったから、つい最近、特務の存在が疑われたと』
≪はい。戦況の好転により、難民と化していた民間人が帰省し、傷病軍人も治療を終えセンターを去ったため、直接特務大尉を見た者達がいなくなったことが原因でしょう。私だって実物の映像を見ていなかったら信じません≫
『でも、よく特務もTV局の取材を受けたよね。そういうのは嫌いだと思ってた。ああ、それと特務がセンターに返って来た時のTV出演も』
≪その件ですが、不審な事があります≫
『不審?』
≪はい。そのどちらの件も前後して、特務大尉とザ・ファーストとの間で、頻繁に通信が行われています≫
『通信?内容は分かるかい?』
≪TV出演の際のプロテクトは非常に硬く、私では突破出来ませんでした。しかし、最前線での取材に関しては、断片的ですが情報を入手出来ました。どうやら、ザ・ファーストは星系連合との接触を予期、または察知していたようで、特務大尉の存在を再び世に知らしめ、人類の切り札、リヴァイアサンと特務大尉で星系連合を牽制するため、映像を欲しがっていたようです≫
『ははあ、なるほど』
≪目論見は成功したと言っていいでしょう。リヴァイアサンは勿論ですが、実際の映像と、改めて特務大尉を認知した現場の兵が、星系連合の兵に話をすることで、特務大尉の存在が星系連合にもあっという間に広がりました。そして何より、特務大尉が最前線に常にいるため、活躍を直接見る者が多いですからね≫
『そういえば最近、星系連合が特務に、なにかちょっかいを掛けたとか言ってなかった?』
≪はい。光学迷彩的な能力を持っている、カメレオンの様な兵を特務大尉に貼り付けていたようで、動向にかなり気を配っているようです≫
『でもバレちゃったと』
≪はい。現在は引き渡されているようですが、どうやら特務大尉がトラウマになったようで、調査官が特務大尉をこの場に呼ぶぞと言うと、カメレオンはすんなり口を割ったようです≫
『ありゃ、僕なら早く呼んでくれって頼むのに』
≪処置無し。話を戻します。人類がついに軍と艦隊の再編を完了すると、特務大尉も合流。常に、本当に常に最前線で戦い、ガル星人を打破し続けました。この頃になると人類も特務大尉に慣れたようで、初期の単なる英雄と呼ばれるよりも、"ワンマンアーミー"、"無茶ぶり野郎"、"終身名誉元帥"などの呼び方が目立ってきます≫
『うんうん』
≪後はそれこそ知っているでしょう。勝って勝って勝ち続けました。最早誰にも止められないと言わんばかりに。また、特務大尉の戦果は、完全に常軌を逸脱しており、把握も出来ておりません。無断出撃が多すぎます。本来なら基地で待機していたはずなのに、特務大尉がいないというのは日常茶飯事だったようです≫
『いやあ、本当に特務は凄いなあ』
≪処置無し。ああ、そういえば、ザ・ファーストと特務大尉の事で、一つだけ言うのを忘れていたことがあります≫
『忘れるって君、何度も言うけどAIだからね』
≪作成者の腕が悪かったのでしょう≫
『とほほ。それでなんだい?』
≪特にザ・ファーストと特務大尉の間でやり取りされているキーワードを検出しました。キーワードは2つ、"セーブデータ"、"コンティニュー"、この2つです≫
◆
まさか、"セーブデータ"と"コンティニュー"に気が付くバグが発生していたなんて。修正しないといけませんね。
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