音声ログ3 TV局スタッフ
2話連続投稿の2話目です。ご注意ください。
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ようこそエージェント。
このデータは、第645惑星での戦いに派遣された、スターTV局スタッフの音声ログになります。再生しますか?
はい
それでは再生を開始します。
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『もう最悪よ!本当に最前線に行くの!?』
『ヘレナ不味いって、音声は入ってるんだから!』
『知ったこっちゃないわよ!あのバカプロデューサーめ!死んだら化けて出てやるんだから!』
『まさか本当に企画を通しちゃうとはねえ…』
『ああ私の馬鹿!視聴率100%の番組だからって、あの時頷くんじゃなかった!あんたもそうでしょマック?』
『いんや、スタッフは皆、特務に会えるならって志願した人ばかりだよ?』
『あんたTV局のスタッフなのに、本物の特務が実在するって思ってたの!?』
『いやあ、絶対いるね。今回の撮影で、特務の活躍している所を撮って、プロパガンダでも誇張でもない、本物の特務がいるって皆に知らしめないと』
『ああ…!あのプロデューサー!そう思っているリポーターを探しなさいよ!』
◆
『地表に降りる前の、最後のミーティングを行います。現在645惑星は、我が軍が有利ですが、戦場では何が起きるか分かりません。決して我々の傍を離れない様にして下さい。予定の方になりますが、この後すぐに基地に揚陸艇で降下し、現地の特務大尉と合流。一時間ほどの取材の後、明朝に基地を特務大尉と発ち、前線での撮影を行ってもらう事になります。くどいようですが、絶対に私達から離れないでください。特務に付いて行こうなどと思わない様にして下さい。何か質問はありますか?どうぞ』
『初めに、取材へのご協力ありがとうございます中尉。それでなのですが…特務についてくなとは…そのう…戦地での皆さんもそうですが、特務の特集でもありまして…』
『仰りたいことはよく分かります。最初に申しておきますと、特務大尉が実在しないから困る、といった理由ではありません。我々が特務大尉の移動に付いていけないのです。訓練をしていない貴方方では、なおのことでしょう』
『はあ…ついていけない…』
『はい。物理的に不可能です』
『はあ…。ええっと、それと特務大尉は、我々の取材を許可してくれたとの事ですが、どのような理由からなのでしょうか?』
『あー…。それはなんと言うか…。特務大尉に取材の事をお伺いしたところ、まあ何とかなるだろうから、いいんじゃないかと言っておられてですね。それもあって軍も許可したというか…。まあ、そう言う事です』
『はあ…』
『他に質問は…無いようですね。ではこれから揚陸艇に向かいましょう』
◆
『よしみんな気合入れろ!生放送だからしくじるなよ!』
『3,2,1』
『皆様こんにちわ。スターTVのヘレナです。我々は現在、揚陸艇に乗って第645惑星の地表に降り立ち、あの特務大尉と面談する事になっています。ご覧頂けるでしょうか?どんどんと地表に近づいています。あの基地で、特務大尉が我々を待っていてくれているのです』
『中尉変です!基地から航空機が多数!戦車もです!こりゃあ全力出撃だ!』
『なんだと!?』
『大変です!我々が降り立つ基地から、戦闘機や戦車が次々と出発しています!一体何が起こっているのでしょう!?』
『中尉!基地司令からです!』
『繋いでくれ!』
『すまん中尉。面談の準備がパアだ。タコ共が包囲していた市街地から出て来て、現在は平野の防衛線で戦闘中だ』
『はっ。今後の我々はどうなります?』
『それなんだが、特務が第三偵察小隊の観測所なら大丈夫だろうと言っていた。向こうにも連絡は入れてるし、そこならちゃんと撮れるだろう』
『分かりました。では我々は第三偵察小隊の観測所へ向かいます』
『うむ。取材班の方々、申し訳ない。特務は真っ先に飛び出してしまってね。まあ、戦場でも目立つから、誰が特務かと思う事はないはずだ。それでは私はこれで失礼する』
『大変です!我々はこのまま戦地に向かうようです!現地では一体何が待ち受けているのでしょうか!?』
◆
『戦況は!?』
『ついに現場に到着しました!今どうなっているのでしょうか!?』
『中尉と取材班ですね!?特務が中央でタコをズタボロにしてます!あ、今敵の多脚戦車に飛び移りました!』
『ああ!?マック!あそこ撮って!中央の多脚戦車!人が!上に乗ってる!』
『夢みたいだ…』
『皆様ご覧になっているでしょうか!?こちらからでは詳細は見えませんが、特務大尉と思わしき人物が、敵の多脚戦車の上に乗っています!ああ!?今戦車が火を噴きました!』
『近くにいる味方の砲兵連隊による射撃が開始されます!音と振動に注意してください!』
『え!?でもあそこに特務が1人で!?』
『いつもの事です!気にしないで!それより始まりましたよ!』
『きゃああああ!』
『やべええ!』
『くそ!?耳が!』
『見、見てください!前線の一部には何も有りません!全て吹き飛びま!?え!?誰か走って!?信じられません!特務大尉はそのまま周囲のタコを倒しています!』
『リポーターさん。なんでも、特務は砲撃の着弾点が分かるみたいですよ』
『なによそれ!?』
『HQへ。こちら第三偵察小隊。特務の姿を確認した。いや、まて!特務が停止のハンドシグナルをしている!そちらで確認できるか!?』
『こちらHQ。こっちでも確認した。そちらで原因を確認できるか?』
『少しま、いやいた!"カブトムシ"だ!タコ共こんな所に持って来てたのか!HQ!市街地からカブトムシが出て来た!』
『皆様ご覧ください!まるで戦艦の様な戦車が、街から家屋を踏み潰して出てきました!あんなのどうするのよ!?』
『こちらHQ、了解。特務からカブトムシが出てきたら貰うと言われている。まあ見物といこう』
『ははは第三偵察隊了解。取材班の方々!絶好のシャッターチャンスですよ!』
『ああ!?マック撮ってる!?あれの足元!嘘でしょ足から登ってるわ!?』
『これだよ!やっぱり特務は居たんだ!』
『中に入っちゃった!?どうするの!?あ!?タコを攻撃し始めた!?』
『前も奪ってましたからね。気に入ったのかな?』
『すごい!どんどんタコが引き始めた!やっちゃえ特務!こほん、失礼しました』
◆
『取材班の方々、特務が部隊再編の間、少しだけこちらに来てくれるそうです。ああ、言っている間に。あのヘリです』
『え!?プロデューサー!?どうしたらいいの!?』
『え!?いやどうしろって言われても!?』
『え!?そのまま落ちてきた!?』
『申し訳ない。一時間の約束だったのに、ほんの少しだけしか時間が取れそうにない。何か聞きたいことは?』
『と、特務大尉お疲れ様です!えーっと、その、えと、男の子のなりたいランキングの一位、特務大尉と、女の子の一位、特務のお嫁さん、おめでとうございます!』
『ありがとう。いや、だが男の子達には悪いが、大きくなる頃には平和になって、特務大尉という存在は必要なくなる。女の子達もだな。その頃には、俺は特務大尉では無いだろう。いい人を見つけるといい。特務大尉は期間限定なんだ。悪いな子供達よ』
『特務!部隊の再編が終わりました!』
『わかった今行く。それでは』
『は、はい!ありがとうございました!』
『そうとも、俺が子供達の未来を守って見せる。兵士になる必要なく、普通の男を愛していい未来を』
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