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気づいた事は。「歌」ではないということ。

乗せる気のようなもの。空気の様につかみどころのないものは、「歌」にだけ乗っかるものでは無い。自分の経験してきたことすべて。。は声に表情に、雰囲気にどこにでも乗っかるという事。。では?何故昔、若い頃から苦しい中を生き抜いてそれをのせられなかったか?はかみ砕いて自分に何が起きてどうなったのか?から逃げて生きていたから。。今は一度振り返り、何度も再現される輪廻の中から必要なものを拾い集め、いらないものの整理をし、決して完全では無くてもインプット、アウトプットを繰り返し決して逃げてはいきていないから、きっと気づかぬうちに


必要な時、どこにでもその空気ははりついてくる。。


ただ、1点私の心の中に陰りがあって、それはどうしても拭う事が出来ない。。

私は親を捨てているのだ。ということ。。

ポジティブもネガティブも自分の内なるものであるのだし、ふり幅が大きければそのネガティブも相当に深い。そして私の中に潜む「輩」はそのネガティブをきっと好んでいるのだろう。。それが無ければ、親を捨てるなど出来るはずもない。


奉仕の心が無ければ介護の仕事など出来るはずもなく、その奉仕のこころがあるから、ある人には好まれる。でも、潜んだ影もあるから、私は何処にいても嫉妬や嫌がらせの風にさらされるのだろう。。


ある日、レギュラーの派遣看護師から聞いた事。。勿論裏はとっていない。ただ、どう考えても無い事を私に話すこと等しても意味がない。。要は多少大げさに言っていたとしても事実でないという事も無いのだろう。。ただし、私にとっては衝撃的な話だった。

利用者のNさんが私を理由に退所したという事。「あいつがいるからカラオケで歌えなかった。」そして退所するずっと前から「今日は来てるのか?」「今日も歌うのか?」など社員職員に聞いていたそうで、私が嫌われていたのは「歌」が原因だったという事。。


そして社員職員たちは


紫ぐれさんの歌を好んでいる人ばかりではない。

等、私の居ない時に話していたそうで、特に私がショックだったのは

「紫ぐれさんには言えないけど、カラオケは利用者のものであって、職員のものではない。紫ぐれさんはカラオケを私物化している。」と言っていた社員は私に「涙そうそう」を歌ってとリクエストした職員だという事。。

私は、私の歌いたい歌は一度も歌っていない。すべて奉仕の気持ちからであって、職員が職員に自分の好みの歌を歌ってと言う方が、私物化しているではないか。。と思った。


そして、私はSさんの様子が気になって自主的に歌わなくする前の段階でどうしてNさんの情報をくれなかったのか?

私はその社員にどうもNさんから嫌われているようで気になっていると相談したこともあったというのに。。

何事も原因が分かって初めて対処できるというのに。。。

もっと早い段階から知っていたらもっと早くに歌うのをやめることはいとも簡単な話だったというのに。。


職場のカラオケは決して歌いやすいものでは無い。

伴奏が聞こえないのだ。。

それは私の声が通るからで、マイクを使うとまったく伴奏が聞こえないことがほとんど。。

だから、歌詞を知っていてもたとえ覚えていなくても、チラ見ぐらいすれば歌う事は出来るはずが、画面の歌詞の色がハンテンしていくのを注視しないとずれて歌えなくなる。。


すべてを知った私が上司に相談した時の事。。



それ。。裏とったな話なのか。。裏とってないならそういう話は大問題だよね。

どうせ派遣看護師が言った事でしょ?

あの派遣の事は信用してないから。。


それより紫ぐれさん。歌に没頭しすぎじゃないのか?結局プロなんだよ。

歌に陶酔して画面しか見てない。

そんな時に利用者がトイレ行こうとして転倒したら紫ぐれさんのせいだよね。


これが「ガンガンやっちゃってください。」と言い、「紫ぐれさんのおかげで好評だったよ」と言った上司の同じ口から出てきた言葉。。


心の中で思った。。


プロは。。画面を見ません。お客の方を向いて歌うもの。スポット照明が当たればお客の顔は目つぶしで見えない。でもそんな照明も無い環境なのだから

音響が整っていれば、客の顔も、動作も確認する事は容易。

カエリのスピーカーのBOSEを置けとまで言わないが、伴奏が聞こえる環境なら画面を注視したりしませんよ。。

陶酔して歌うのは素人。プロは席を立ったり動く客には敏感ですと。。



しかし、言っても仕方がないと思った。。



Sさんの事が気になって私はすでに歌わないようにしていた事。断り方も難しく、それでも障りのないように声の調子が。。など言いながら断ってますからご安心ください。と言うと。。


「その断り方はまずいな。声の調子って事は調子が良くなったら歌うって事でしょ!仕事だから歌えないと言って断ってください。」だった。



この時、この職場どうしようか?と悩んだ。それは歌えなくなるからではない。この時までの社員の私に対する接し方などが激変している中、ストレスを抱えながら働くという事。そしてあからさまになったこの状況の中どう考えてもその風当たりは酷くなるのだろうと簡単に想像が付く事で悩んだのだ。。

しかし、

私の体調(足と腰)を考えた時、介護度の低い利用者が多いこの事業所に残って仕事をした方が得策だと思った。とにかく1年ちょっと先の試験までは。。それから考えようと思った。


そして、歌わなくても。。。むしろ歌わない方が。。トラブルなく私特有の「気」は乗せられるだろうと確信していた。


それに気づかせてくれたのは利用者様だったではないか。

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