第26夜・紅く染まった坂

昔、日ノ本帝国ひのもとのていこくに、"神坂こうさか"という坂があった。また、その坂がある周辺の地域も神坂と言った。


そして、

神坂を縄張りとする忍達がいた。

身体能力・頭脳と共に優れ、忍としては珍しい人助けをしていた。

心優しい人達だったらしく、人間たちはその忍たちを“神”の代理人として崇め、騎士や武士達は恐れた。



神坂の忍たちが世に名を轟かせ始めた頃、

神坂の周辺の地域の者は、この忍たちを“神坂かみさか”と呼び始めた。






それから数百年

神阪たちは突然、武士や騎士、酷ければ奴隷として狩られ始めた。


勿論、神阪たちは黙って大人しく狩られる筈もなく、度々神坂で戦を起こしていた。













そしてある戦で、神阪は滅亡した。












正確に言えば、狩られるか戦死するかで、散り散りになった。


その戦の後の神坂は、紅く染まっていたそうだ。


“紅く染まった坂”

“神坂”

をかけて、

“紅坂”ができた。初めの頃の読みはこうさかだったが、

“あかく染まった”なのでと、紅坂たちは“あかさか”と名乗り始めたのだ。




狩られてからの紅坂たちの力は衰えることなく、それぞれの場所で力と命を捧げた。






これが私、紅坂神楽の元である。

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