第5話 それぞれのオペ、作家の卵たちへ

 先生が小説進捗管理を終えられて、バイタルが安定した科学進化バットン・ジャンは今やそれぞれのタスクを完了するのを待つばかりであり、44箇所の加筆を終えれば、その文字数がどれだけに膨れ上がるのかも分からないが、明らかにこれは短編小説作家が長編小説に乗り出すための第一歩とも、そして書き上げたものは確実に作家として目覚めるだろうと考えられる。


「おや?」


 先生ってばオペに集中してると周りのことが見えないんですね、一同がにこやかで晴れやかな顔をしている様子を見て不思議そうにしてます。


「君たち、竜勇者達はどうしたんだ?」


「――――――先生、それが」


 一同が表情を曇らせるのを見せて、先生は汗をふつふつと浮かべて瞳孔が拡大するような具合で目を見開き、眉を、眉間に力が集中する瞬間。


「――――――君たちは! なんてことを!?」


 顔を見合わせる一同を前に先生は口をパクパクさせて、状況が把握できてない?


 一同は一斉に声を発した。 


「オペ完了いたしました! 竜勇者たちは皆無事に五つのタスクを胸に秘め、日の出ずる原野へ愛馬に姫君をのせ走り去っていきました! ええ! 五体満足に! 元気な竜勇者でしたよ!」


 連日の厳しい執筆劇にお疲れな先生は空気が抜けたように目をつむったまま用意された椅子に腰を下ろします、改めて先生の汗を代表者がぬぐうことで互いの健闘をねぎらう作家の卵たち、そう、ここには筆を折った作家は一人もいなかった、的確な先生の指導の元、無事に完成した竜勇者の物語、病魔に侵されて死の淵をさまよっていた科学進化バットン・ジャンもバイタルが安定し、先生が執筆に入れば完成することが約束されています。


「――――――まったく、私のバイタルが安定しないじゃないか、皆、よくやった、君たちは非常に優秀な作家だ、私がタスク管理に集中してる間に、作品を完成させてしまったんだからな」


 「さあ、先生! 残るは科学進化バットン・ジャンのオペのみです! みんなで44のタスクを完了させましょう! 進捗率100%を目指して!」


「ああ、いまなら進捗率1000%でもいける気がする! なぜなら私たちは誌面におさまりきらない物語を紡げるのだから! さあ見せてくれ! 君たちの実力を!」


 小説にもしがあるとしたら、同人だといわれたとしても無数の世界が広がっている。 科学の進化に時として人はついていけないと悩むものだが、そこには悩める患者たちが数多く存在しており、どこにでもいける小説家の能力が活躍する舞台が無限にあるのだ、私たちはどこまで書き続けられるだろうか?

 いくつもの物語の結末を書くとき、そこには楽しく過ごす人々の世界がある。

 すべての創作に祝福を、私たちは今日も物語を紡ぐ!



―――――――――――――――――――――――――


 いかがだったでしょうか?

誰しもが執筆する時は悩むものです、時系列通りに執筆すれば冒頭で力尽きることもあるし、プロットで先に展開を箇条書きにしてしまったら、自由な幅が無くなってしまうかもしれない、かといって地の文が全く無いセリフだらけの文章を綴っていくと書いてる本人でさえ何が起きたか忘れてしまう、そんなことがある。

 でもそういう時は自分があとどれくらい作品と向き合えば、見事に作品が完成するのか想像してみて欲しい、ナンバリングタスクはプロットとセリフの間を補う地の文との連携で成立する。

 技術は人の記憶を強くする、番号が振られた場所に力を傾注していけば、それぞれの番号に一行ごとのカクヨムが出来上がる、そうすれば日常の雑多で忙しいさ中でも再び執筆のため指を運ぶことが出来る。

 願わくば今日、没にされそうな全ての作品の命が無事に歩みだせますように。


  著 ウゴカッタン


※今回の作例を改めて紹介しようと思います、盛大なネタ晴らしをしたあとですが、

 とりあえずこれで科学進化バットン・ジャンの謎であり、読者の方がここまで読んだと指標にしている1了2了という単位の謎はここに記した技術の手術跡、要は縫合部であったと分かることでしょう、時間の経過とともに縫合部は薄まりやがて知る人もわずかになるでしょうが、それでも、科学進化バットン・ジャンは自分の体に残った44箇所の命を紡いだ軌跡を読者に誇らしく見せて回ることでしょう、傷は戦士の勲章のようなものですから、ええ、正義の味方は、生傷たえないものですからね。


 科学進化バットン・ジャン

https://kakuyomu.jp/works/1177354054921539534


では未読の方も、新しく読む方も、今回のテクニックがどんな結果をもたらすのか?

リンクで飛んでみるのも、竜勇者を書いてみるのも、あなた次第です。

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