只今、犯人は不在です。

サバ缶。

プロローグ





萌波が死んだ。




学校の屋上から飛び降りて死んだ。

その時は授業中でその日、萌波は学校を休んでいた。その日は雲一つない快晴の空が広がっていて、その日はずっと窓の外を見ていた。


すると、目の前を黒い大きな鳥が降下してきたと思った。だが、それは、萌波だと気付いた時にはもう、遅かった。


目の前を通り過ぎた後、直ぐにグチャッという何かが硬いものに当たって潰れたような音がした。急いで地面を見ると、形さえも留まっていない死体が転がっていた。



萌波だった。







涙と吐き気が止まらなかった。







クラス中は混乱の渦で、耳を刺すような叫び後の中、先生の制止の声を振り切って萌波が落ちた校庭へ駆け出した。死体の傍に近寄ると独特の臭いが鼻を劈く。なんとも形容し難い、その萌波はやっぱり萌波だった。

色んな方向へ曲がった萌波の手足は所々骨が飛び出て痛々しい。それでもどこか腹の中には冷静な自分がいた。一番親しかった萌波が死んだというのに、頭はどこか冷えていて





萌波をここまで追い詰めた犯人に復讐することだけが頭の中を支配していた。




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