第41話 すずちゃんと奏ちゃん。その2
リビングに向かう中、二人は今迄置かれていた境遇について話をしてくれた。
「先程、私達は兄上が実兄では無いとお話をさせて頂きましたよね?」
奏ちゃんは俯きながら俺に語りかけてくる。
「あぁ、そう聞いたね。」
「私達は孤児として育てられ、施設に入っている時に兄上の父に引き取っていただきました。しかし兄上は私たちの受け入れを酷く拒絶しており、今になっても、その溝は埋まってはおりません。」
この言葉は以前にフワッとだが、真也から聞いた事がある。
余程、姉妹の性格が悪いのだな。と思っていたが、どうやら違いそうだな。
「兄上とはつまり、真也の事でいいのかな?」
「真也様とそのお兄様の流星(りゅうせい)様です。」
流星も絡んでくるのか。あいつは俺が大嫌いな性格だからな。自分勝手で何かにつけて人を下に見てくる。そのクセ、自分が窮地に追い込まれると人に助けを求めるとんでもないクソ野郎だ。
「でも、何でそんな言いにくい事を俺に?」
「海斗先輩には、今日に至るまで何かと、お心を砕いてくださいました。助けてもらってばかりで私達には何もできませんでした。 でも、少しでも私達の事を知って頂きたくて……。」
すずちゃんも珍しく真剣な眼差しでこちらを見つめて語る。
元々嘘を言う様な性格の子達ではない事は十分理解していた為、俺はこの子達に何か出来る事は無いだろうかと考えることにした。
「海斗先輩はミルクティーでいいですか?」
奏ちゃんはキッチンでお茶を用意してくれていた。
「奏ちゃんは、料理がとても上手なんです!私は料理が苦手で……。」
「でも、すずちゃんは、掃除や洗濯等がとても上手で手際がいいんですよ!」
奏ちゃんはすずちゃんの褒め言葉にすぐに褒め言葉で返していた。
いかにお互いを理解し、日々お互いを見ているかがすぐに理解出来る。
「はい、海斗先輩はミルクティー!すずちゃんはレモンティー!」
「ありがとう! あ、そうだ、今度家に遊びに来ない?」
「うえぇぇぇぇぇ!!??」
二人同時の叫び声。流石は双子といったところか。
そ、そんなに驚く事かなぁ……。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます