第27話 作業。

すずちゃんが滑って川に落ちた後、すずちゃんは病院へ。

川岸に落ちていたすずちゃんのスマホも何事も無く回収。

救急車のサイレンと共に、全員が集まってきて、そりゃ大変だった。

付き添いで真也が病院へ同行した。


「ありがとうございました、海斗先輩!」

「あぁ、気にしなくていいよ。何事も無くて良かった!」

奏ちゃんが深々と頭を下げてくる。

こうなると、コイツ等護衛も大した事ないのぅ!


「…………海斗、先輩……?」

いかんいかん、また悪い癖でドス黒い部分見せるとこだった……。

「奏ちゃんにお願いがあるんだけど……。」

「はい!なんでしょうか!?」


ーーーー。


「なる程……。確かにそれはしなければなりませんね!」

張り切る奏ちゃんに俺は頷く。

「その話、私達も混ぜてもらえないかな、結城君!」

俺が振り返ると、そこには真也とすずちゃんを除いた全員が集まっていた。

「……無理ない程度でお願いします!」


ーーーー。


俺は奏ちゃんの手配により業者から杭とトラロープを手に入れると、護衛の方達と杭を運ぶ。

他の皆も協力しながら杭を運んでいく。


「こんなもんで良いだろう!」

随分と荒削りだが、杭を等間隔に設置し、トラロープを通して柵を設置した。

勿論、これは仮設の柵だ。

崖から随分離れた場所に設置した為、これなら誤って落ちることも無いだろう。

川沿いにも仮設の柵を張り巡らせたから、もう大丈夫な筈だ。


「あとは任せたよ、奏ちゃん!」

「はい!しっかりとした柵をまた発注します!」

元気ハツラツな奏ちゃんには相応しくない『発注』の単語。


これが大金持ちの台詞なのね……頼んだのは俺なんだけど……。

「もうこんなに暗くなっちゃったな。」

「では、自宅へどうぞ!」

最早自宅という言葉が相応しいかどうかすら怪しいデカさの屋敷に俺達は入る。

「何か、朝来たときと雰囲気がまたちょっと違って……綺麗!」

浜辺はロビーに着くと一面ぐるりと見渡し感激している。

見たところ、この建物全体が木造なんだな。

だから夜にシャンデリアの光が映えるのか……。

俺達はリビングルームに案内されるとソファーに座り、一息つく。


「ただいまーー!!」

不意に真也の声がロビーから聞こえてくる。


戻って来たんだ、二人とも!

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