第6話:復讐1
皇都の闘技場に来てから半年、全く負傷することなく、ほぼ毎日戦った。
最初の頃は演技が上手くいって、莫大な利益を手に入れることができた。
まあ、どれほど演技しようと、一ヶ月三十日以上連勝すれば、ランクも上がるし掛け率も旨みが無くなるのは仕方がない。
だが同時に、こうして皇国の権力者と繋がることができるようになった。
「自由剣闘士アレクサンドロス、こちらが皇国の重鎮シシン侯爵だ」
俺は奴隷ではなく自由民だから、それなりの権利がある。
皇国の貴族がパトロンでなくても、無理な闘技をさせられる事は少ない。
まあ、王侯貴族が圧力をかけてきたら、とても不利な条件で戦わさせられることもあるので、支援してくれる権力者は多ければ多いほどいい。
それに、支援権力者が多ければ、真の敵を探し出して殺す事も可能だ。
「ほう、この者が百五十戦以上無敗だというアレクサンドロスか」
とぼけてはいるが、俺の事を知っているはずだ。
何度かお忍びで闘技場にきているのを確認している。
こいつも実は男色家で、絶対に逆らえない奴隷剣闘士をネコにしている。
現皇帝とも秘密の関係らしいが、これは公然の秘密らしい。
アルフレオ王国を普通の国にしようとしているのも、自分達が子供をもうけられない事に対する嫉妬だそうだ。
「お初にお目にかかります、アレクサンドロスと申します」
顔繋ぎさえできれば後は簡単だ。
明らかに俺に興味を持っているのが分かる。
屈強な俺をネコにして支配する事を夢見ているのだろうが、そうはいかない。
最初はネコになるように見せかけて、逆に組み伏せさせてやる。
背後から責めに責めて、完全に支配下に置いてやる。
「もっと、もっと強くして。
もっと激しく、もっと激しく抱いて!」
クックックックッ、思いしったか。
俺を支配できるなどとは思い上がりもはなはだしい。
吐くくらい激しく後ろから責めてやる。
それと、種と一緒に身体の中に毒を仕込んでおいてやるよ。
男色家が天罰で罹ると言われている病とそっくりな症状がでる毒をな。
その状態で皇帝と乳繰り合えば、確実に二人を殺すことができる。
シシン侯爵を初めて抱いてから一カ月、シシン侯爵は毎晩のように俺を呼び出し、尻を差し出して哀願した。
このままシシン侯爵を支配して、皇国を思い通りに動かす事も可能だったが、それではアルフレオ王国を元に戻すことができない。
だから、毒でシシン侯爵と皇帝が死ぬのをじっと待った。
俺は自分が仕込んだ毒だから、ちゃんと解毒剤も中和剤も持っているが、シシン侯爵と皇帝にそんなものはない。
皇国秘蔵の魔法薬や魔導士の技だけが気がかりだったが、俺の毒を消す事はできなかったようだ。
最初から男色病だと諦めていたのかもしれない。
まあ、皇帝と最高権力者が男色病で死んだんだ、皇国の混乱の極致となった。
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