人間の僕は、魔族として生きる〜魔族と人間が共に暮らせる世界を作ったある1人の人間〜
アリヴ
第一章 魔族として生きる僕
第一話
「よっ!久しぶりだな!」
声を掛けてきた男⎯カリュに「久しぶり。」と笑顔で返し部屋に入ると、僕の周りには子供がわらわらと集まってきた。
全員魔族特有の褐色の肌と、サイズや形はそれぞれだが角を持っている。
「ねぇねぇ!お土産ある?」
話聞きたい!俺、クレア姐さんの話スッゲー好きなんだ!」
一人称が“僕”なのは生まれつきだ。
それぞれに今回の旅のお土産を渡し、夜の寝る前に話を聞かせる約束をして、ふと周りを見ると、1人いないことに気がつく。
すると、僕の探している人を察したのか、カリュがその人の居場所を教えてくれた。
「あの人なら、軍団長室で待ってると思うぜ?何か、紹介したい奴がいるんだと。」
「紹介したい人?」
誰だろうと思ったが、考えていても仕方ない。
どちらにしろ、軍団長には用があったので、「わかった。ありがとう。」と言って部屋を後にした。
軍団長⎯僕の師匠であり、命の恩人でもある、ギガル・グレイディアに与えられている屋敷はとても大きい。
なぜなら、人間との争いによって親を亡くした孤児や、捨てられたりした魔族の子供を引き取って、育てているからだった。
僕もその1人である。
二階から四階へいき、最奥にある扉をノックする。
「クレアです。」
「入れ。」
返事を聞いて部屋に入ると、そこには、笑って座っているギガルと、その隣には、8歳くらいの少女が、緊張した面持ちで立っていた。
「お久しぶりです。師匠。いえ、第一軍団長。」
「相変わらずかてーなぁ、お前は。師匠でいい。」
はははと笑いながらいうギガルと軽く今回の旅の内容を話し、隣にいる魔族の子供について聞いた。
「ところで師匠、そこにいる魔族の子は…」
僕が質問すると、ああ、そうだったと言って、魔族の子供を僕の前に来させた。
「あ、あの、こ、こんにちは。フレイリアと言います。は、はじめまして。」
かなり緊張しているようで、まぁそうだよな…と思いながら、少女と目線を合わせるためにしゃがんで挨拶をした。
「はじめまして。僕は第三軍団長を務めている、クレア・ヴィネストだ。そこまで緊張しなくとも、別に怒ったりはしない。みんなからは、クレア姐さん、と呼ばれている。好きに呼んでもらって構わない。」
そういうと、少し緊張が解けたのか、力を抜くと、「一つだけ、聞いてもいいですか?」と言われた。
構わない、と言って、おおよそ聞かれることを予想してその問いを聞いた。
「何で、クレアお姉さんの肌は、みんなと違って白いんですか?」
それに、今まで新しい子供が入ってくるたびに言っていた答えを返す。
「僕は…」
人間だからだよ。
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