第30話 思いやり
寒空の下凍えていると、
これを召し上がれ
細い声がした
夢じゃない
一杯でも充分暖まった
気づくと自分一人
もう少し歩くか
遠くに明かりのついた家
覗くと中からさっきの声が
よく来たわね、さあどうぞ
後ろ手に鍵をかける音が響いた
これから料理を始めましょう
思いやりの意味に震えた
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