第25話- 赤

鋭い痛みが襲ってくる、


身体の内側から引き裂かれるような、明瞭な意識はそれを幻だと理解しようとしている。


一歩づつ歩けば歩くほど痛みは間口を広げていく。


自分で見る右手は真っ赤に染まっていき、倒れ込む自分を気に留めてくれる人影も無い。


明瞭だった意識は事象を受け止めるのを止めた。

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