第134話 アイセル検定

 その後はアイセルの生家を見学したり(本当にどこにでもある普通の民家だった)。


 アイセル検定を受けてみたり(アイセルに関する問題を解いて、1問2点で70点以上ならアイセルマイスターとしての認定バッジが貰えるのだ)。


 そんな感じで、アイセルテーマパークの趣向を凝らしたおもてなしを堪能していると、時間は流れるように過ぎていったのだった。


 ちなみにアイセル検定の結果は、


「わたしは96点でした」

「俺は78点だ、まぁまぁかな?」

「私ギリギリ70点、危なかったー!」


 だった。


 そして最近パーティ入りしたばかりで、アイセルとも知り合ったばかりのシャーリーは悲しみの28点だった。


「ぐぬぬぬ……100点満点でたったの28点。まさかの3割未達……ごめんねアイセル、パーティの仲間なのに28点しか取れなくて……」

 珍しくシャーリーが目に見えてヘコんでいた。


「いえいえ、こんなの遊びですからどうかお気になさらず。それにわたしだって、知り合ったばかりのシャーリーさん検定があったとして、それで合格点を取れるとは思えませんし」


「ううん、今回の事でよーく分かったわ。アタシはもうちょっとアイセルのことを知らないといけないってね。ってわけでアイセル、今度2人でご飯でも食べながらゆっくり話でもしましょうよ」


「いいですね、賛成です」

「あ、私も! 私も参加する!」

「じゃあサクラも入れて3人でね」

「えへへ、女子会ですね」

「あ、ケイスケは来ちゃだめだからね! 男厳禁! ノー・ケイスケだから!」


 サクラが顔の前で両手をクロスさせて大きなバッテンを作りながら言った。


「わざわざ女子会だって言ってるところに、無理に顔は出さねーよ」


 とは言ったものの。

 はい、パーティの中で俺だけナチュラルにハブられちゃって、ちょっとだけ悲しかったです……。


 まぁでも女子会は必要だよな。

 男の俺には聞かれたくない話題とか悩みもあるだろうし。

 その辺やっぱり男の俺が首を突っ込むには、どうしても限界があるというか。


 そしてなんだかんだでアイセル検定できっちり合格点をとってみせたサクラは、前衛パートナーとしてアイセルのことをしっかり理解してるんだよなぁ。


「ところでちょっとだけ疑問なんだけどさ?」

 俺はアイセルに問いかけた。


「はいなんでしょう?」


「なんでアイセルは検定で2問もミスってるんだ? 問題は全部アイセルに関する

ことだったよな?」


「あ、それはですね。最後のあたりで、わたしが赤ん坊のころの問題があったじゃないですか」

「ああ、あったな。初めて話した言葉は何かって問題だったっけ?」


「そんなの覚えてるわけないじゃないですか? だってわたしまだ赤ちゃんだったんですよ?」

「言われてみれば確かに……」


「多分問題を作った人は、お父さんかお母さんから話を聞いたんだと思うんですけど……」


「そうだよな、俺もどれだけ古くてもせいぜい6歳くらいの記憶だもんな。それも盛大におねしょして怒られたのを、そんなことあったよなぁって、なんとなく覚えてるくらいだし」


 確かにそりゃあ無理だ、そもそも知らないんだもん。


 そんなこんなで。

 俺たちは日が暮れるまでアイセルテーマパークを遊びつくしたのだった。


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