名前

④お題なし



 彼の背中は同性である自分のそれより広く感じる。少し不満に思いつつその後ろ姿に声をかけようとして、ふと思った。

 こんな時、彼ならいつも俺の名前を呼ぶ。

「……なぁ」

 振り向いた顔は苦笑を浮かべていた。口に出来なかった逡巡も諦めも見透かされたみたいで、俺は目を逸らして話し始めた。



─────


2019.7.5投稿


真生、と呼び掛けることすら意識すると出来なくなる。


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