思い出のなか

 思い出が

 夢を見せる


 もういない

 彼


 そんなに

 そこは

 甘美な

 ところでしたでしょうか


 こちらは

 とても

 苦しかったのでしょうか


 笑顔で隠した

 計り知れない

 哀しみと辛さ


 助けを

 君は

 拒絶した


 まだ続くはずだった

 時間を

 自ら

 止めてしまって


 寂しがりやのくせに

 一人で旅立ってしまった


 サヨナラも

 思いを書いた

 手紙もない

 遺した言葉はない


 そちらは

 誰か

 待っていましたでしょうか


 早すぎる

 訪れに

 驚いては

 いなかったでしょうか


 鼓動を自ら止めて

 君は

 僕達の前から

 消えた


 思い出は

 残っても


 この先に

 君はいない


 ここに君はいない

 もういない


 君は

 ここにいない

 思い出のなかにだけだ


 君は

 どうして

 いなくなったのだろう



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