あるはずのない


 深い所から意識が浮上してきた。でも目を開けられない。まだ夢を見ているままなのか。

 起きないと、と何とか指先を動かす。枕元に携帯があるはずだ。

「ふふ、寝惚けてるでしょコウ君」

 不意に聞こえた声にビクリと震え、今度こそ覚醒した。君が笑ってる、そんな都合のいい夢から早く覚めたくて。



【お題:笑い声】

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