第8話 以前からさんざん虐めてくれた冒険者に復讐する

ゴジ「な……ここはどこだ?!」


リュー「ダンジョンの中だ。ここなら邪魔が入らんだろ?」


リューはギルドを出た瞬間に、ゴジを連れてダンジョンの中に「転移」したのである。



―――リューは、転生時に「時空神」の加護を貰い、時空魔法が使えるのである。


だが、この世界では時空魔法は伝説の中にあるだけの幻の魔法である。「転移」も、太古の昔に使えた魔術師が居たという話は残っているが、現在は使える者は誰も居ない。


そのため、何が起きたのかゴジに理解できるわけがなかった。


戸惑っているゴジの額に向かってスッと差し出されるリューの右手。次の瞬間、ゴジは後ろに吹き飛んだ。


リューのデコピンが炸裂したのである。


たかがデコピンだが、リューのそれは、鈍器で殴ったかのような威力であった。




もんどり打って倒れたゴジ。


しかしゴジは即座に起き上がり、リューに向かってパンチを放ってきた。タフだし、なかなか良い反応だ、さすがはベテランのCランク冒険者だとリューは思った。


だが、ゴジのパンチは空を切り、逆にゴジの腹にリューの拳がめり込む。強烈な打撃に、思わず腹を抱えて膝を着くゴジ。


ゴジ「ぐ……てめえ、本当にリューなのか……?」


リューの蹴りがゴジの顔面を蹴り上げる。


再びもんどり打ったゴジだったが、後方に回転しながら起き上がると腰の剣を抜いていた。リューのキックは腕でブロックしていたようである。


ゴジ「舐めた真似しやがって。殺してやる!」


だがその瞬間、リューの姿が消えた。


気がつけば、リューはゴジの横に立っており、剣を握るゴジの手首を掴んでいた。


ゴジは慌てるが、握られた腕がビクとも動かない。


そして……


「うぎゃあぁぁぁぁ!」


ゴジは悲鳴をあげ、剣を落とした。


リューが握った手首にさらに力を加え――そのまま握り潰してしまったのである。


リュー「まずは、レイドで置き去りにしてくれたお礼をしないとなぁ?」


砕けた手首を握ったまま、ブランブランとゴジの手を揺すってみせるリュー。


「ううっ……!」


怯えた表情で痛みに呻くゴジ。


リュー「それ以前も、随分と可愛がってくれたよなぁ?」


ゴジは以前から何度もリューに絡んでは虐めを行うような性格の悪い冒険者の一人だった。


依頼に失敗した帰り道、森の中で薬草摘みをしていたリューを見つけて、八つ当たりで暴行を加え半殺しにした上、所持金を奪った事すらあった。


(※当然リューはそれをギルドに訴えたが、その時も「証拠がない」と言われ門前払いにされてしまったのだった。)


リュー「金を奪われたこともあったよな? たっぷりと礼をしないとなぁ?」


「いや……その……礼には及ビマッ…!」


痛みで混乱して意味不明な事を口走るゴジ。


リュー「治してやろう!」


ゴジ「?」


リューが治療の魔法を発動すると、潰れた手首が元通りにになる。


痛みが消えほっとしたゴジだったが、すぐまた絶叫する。


リューが再び手首を握り潰したのである。


そしてまたリューが魔法で治療し、潰れた手首は元通りになる。


リュー「ダンジョンでは足を斬られたまま放置されたっけ」


じっとゴジの目を見るリュー。


ゴジの顔に恐怖の表情が浮かぶ。


「3かいめ……「わ、悪かった!謝る!金、金も払う!だから許してくっぎゃあぁぁぁ!!」」


リュー「許すわけないだろ?」


三度、ゴジの手首の骨を砕いたリューは、手を離した。治癒はしていないので手首は砕かれダランと下がったままである。


手首を押さえ、後退って逃げようとするゴジ。


リュー「逃さないよ?」


ゴジ「くっ、来るなぁ!」


近づいてくるリューを蹴ろうとするゴジだったが、その足をリューに掴まれ、今度は防具ごと足首を握り潰されてしまう。




骨を砕かれて、また治療され、また砕かれる。何度か繰り返したら、別の場所に同じことを始める。(逃げられないように手首と足首は砕いたままにしてある。)


「ごべん……ぎゃぁ……なさい……ゆるひて……あやばりばす……ばんせ……してます……」


ゴジはついに小便を漏らし、股間と地面が濡れていった。


リュー「汚いなぁ……あ、そうか」


リューは何かを思いついた表情で立ち上がり、何もない空中に手を差し出し、握った。同時にゴジの足の骨が潰れて砕けた。


時空系魔法で空間を操作して、ゴジの身体を砕いてみたのであった。


身体の一部を包み込むように亜空間で区切り、その空間のサイズを縮小していく事で、内部の物を圧し潰す。


思いつきで試してみたが、結果は狙い通りであった。

自分の所属する空間そのものが変形してしまっては、その空間にしか存在できない物質は強度に関係なく形状を保つことは不可能である。


これなら直接触れる必要もないので手も汚れない。


何が起きたのか分からず真っ青な顔で怯えているゴジ。


リューはもう一度、手を握った。


「う、ぐぉぉぉぉぉぉ!」


ゴジがくの字に折れ曲がり悲鳴を上げる。リューはゴジの股間を潰したのであった。


もちろん、すぐ治癒魔法で元通りに治してやる。


そして再び、悲鳴があがる。




「お、お願いじます・・・謝りまず・・・ゆるじで・・・」


ゴジは泣きながら許しを請うたが、これまで散々、リューを虐めてきて、最後には殺そうとした相手である、簡単に許せるわけはない。


目には目を、暴行には暴行を。殺意には殺意を。。。



― ― ― ― ― ― ― ―


次回予告


反省を促す


乞うご期待!



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