第10話

今俺は、10階層のとある扉の前にいる。

この扉は10階層のボスの部屋だ。


 ボスは10階層ごとに存在している。


俺は初めてのボスだから緊張している。


「この階層のボスは、ゴブリンジェネラルだと思われます。」


思われますという大賢者にしては曖昧な感じがしている。


「思われますなんて、やけに自信がないけどどうしたの?」


「ボスには二通りのパターンがあります。一つ目は普通のパターンこれは情報通りのボスです。

二つ目は、ユニークボスのパターンです。これは、そんなに現れませんが強さが別格なので注意してください。」


もおー本当に嫌な予感しかしない。

だって絶対そうじゃん。


 そう考えながらボス部屋の扉を開ける。


「グガぁぁぁぁぁ」


ほらぁ


そこにいたのはゴブリンジェネラルではなくゴブリンキングだった。

ゴブリンキングは危険度Aで熟練の冒険者が、負けることが多いモンスターだよ?

ここ10階層だよ?

10階層でゴブリンキングとかありえないから。


 そんなことを考えてるうちにゴブリンキングが走ってきた。


「っく!」


ゴブリンキングが予想を上回る速度で来た。


「っがは!」


 ゴブリンキングのタックルをもろに食らう


「鑑定!」


名前ゴブリンキング


種族鬼 レベル1


力600 速さ700 防御力500 魔法防御力600


スキル

突進レベル5 剣豪レベル8 身体強化レベル10 魔力操作レベル10

炎魔法レベル10 水魔法レベル10 風魔法レベル10 土魔法レベル10

魔法防御レベル5 気配察知レベル3 自己再生レベル3


ゴブリンソードとゴブリンメイジの上位互換のようなステータスをしていた。


魔法は俺の方が上だけど身体能力は俺より圧倒的に上だった。


「グガああ!」

                        

ゴブリンキングが装備していた片手剣で俺に向かってきた。


「っがは!」


ゴブリンキングは、俺に向かって剣を振り下した。


だがそんな振り下しただけの攻撃でも俺には脅威になる。


ステータスも圧倒的に格上。


だがこんな生死にかかわる戦いでも俺はわくわくしている。


「爆炎魔波! 暴風の逆鱗! 水龍の咆哮! 大地崩壊」


とてつもなく巨大な炎、荒れ狂う風の刃、龍の咆哮のような水の光線、地面を割り相手を突き落す大地の暴力がゴブリンキングに襲いかかる。


今使える最大威力の魔法をゴブリンキングに放つ。


それをゴブリンキングは、何もせずに受け止めた。

俺は勝利を確信していた。


だが土煙がやんだ所から現れたのは無傷のゴブリンキングがいた。


殺すことは出来なくても重傷は負わせることができると思っていたがゴブリンキングは無傷だった。


「はぁぁぁアストレア流 剣技! 夜桜八閃! 」


桜のような綺麗な八連撃をゴブリンキングに浴びせる。


だがゴブリンキングは難なく八連撃を華麗によけていた。

八連撃が終わるとゴブリンキングは俺に反撃の一撃を加えた。

重い重い一撃それが俺の肩をざくりと切る。


「アストレア流剣技 神速ノ一閃!」


俺が使える剣技の中でも最速の技を繰り出す。


それをゴブリンキングは、当然のように付いてきて難なく避ける。


さらにもう一撃俺に当てる。


「っく! 土煙! アストレア流剣技 神速ノ一閃!」


土煙で俺の姿を視認できなくして、一撃でも加えようと動きだす。

後ろを取り入ったと確信した所でゴブリンキングは、後ろに目がついているかのように俺が後ろにいることに気づき、片手剣を横に一閃。


俺の腹を深々と切った。


「おそらくスキル気配察知によるものだと思います。

そのため背後をとっても無意味だと思います。」


あの後ろに目があるかのような一撃はスキルによるものだった。


「ガァァァ!」


ゴブリンキングは俺に向かって走りだす。


走っている最中に魔法を放ち牽制しながら近づいてきた。


牽制の意味を込めて放たれた魔法を相殺するのも精一杯の魔法をはなっきた。


ゴブリンキングが俺に攻撃しようとしていたのをぎりぎりのところで弾き返す。


もちろんゴブリンキングの方が力が上なのだから俺の方が大きく弾き返された。

先に硬直から回復したゴブリンキングは俺の首を切り落そうとしてきた所、目に向かい小さな風の弾丸を放つ。

普通の小さな風の弾丸だったら無意味だったであろうが、この風の弾丸は暴風の逆鱗を圧縮した弾丸なのだ。

暴風の逆鱗は範囲攻撃、それを圧縮して対象を一人に絞った魔法は、ゴブリンキングの目を潰した。

ゴブリンキングは目を修復しようとスキルを使用する。


普通は隙ができている今決着をつけようとするだろうが、どうせあの固い皮膚を突破できないのだ。

それならちがうことのために、時間を使う


「がは!……ははすげーや」


今までは苦戦があっても決して負けそうになることなかったしすぐに決着がついていた。

だがこいつは違う。

まったく歯が立たない。

なにをしても反撃され倍以上の攻撃を浴びせてくる敵。

そんな敵の存在に俺は歓喜していた。


「スキルボード!」


半透明の板が出現する。


俺はここに来るまでに四百程の敵を殺してきていた。

こんな敵が現れてきた時のために。


俺は出来ている隙を無駄にしないために、高速で勝利できるためのピースをそろえる。


『スキル限界突破を獲得しました。』

『スキル火事場の馬鹿力を獲得しました。』

『スキル聖魔法を獲得しました。』

『スキル剣聖を獲得しました。』


限界突破は、一秒魔力10支払ってステータスを10倍にするスキルで、スキル火事場の馬鹿力は、3秒間だけステータスを5倍にするスキル。

聖魔法は、回復などいろいろなことができる光魔法の上位互換のスキルだ。


正直大切なスキルポイントを剣聖に使ったのは痛いが、生死にかかわることなのでこの際しょうがない。


目の再生が終わったゴブリンキングと向き合う。


ほぼ同時に踏みだし、決着をつけるため駆け出す。

多重思考で魔法を使いながら、進む。


魔法で邪魔されていたゴブリンキングより先に俺の技が発動する。


「アストレア流剣技 鬼神ノ豪剣!」


使えるスキルを全て発動する。

俺が使える技の中で一番攻撃力の高い鬼神ノ豪剣でとどめをさす。


弾き返そうとゴブリンキングも俺に向かってけんを振り下す。


だが合計100倍された俺のステータスが、ゴブリンキングのステータスを上回り……ゴブリンキングの首を切り落した。

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